英語で表現する「苦情」、上手なクレームの入れ方と心構え

商品やサービスに大して苦情・クレームを入れる姿勢は、欧米では日本にもまして大切な意識といえます。英語のうまい苦情の入れ方・伝え方を学びましょう。

相手側に不満や不備などの問題がある場合、その問題を正しく指摘することは、改善・品質向上を促すという前向きな問題解決の方法です。もちろん、あくまで適切に行う限りはですが。

ちなみに、「季刊創英ヴォイス」vol.76「日本の民事裁判件数が少ないのは国民性か否か」では、アメリカにおける民事訴訟数は日本の約8倍にも上ることを伝えています。ヨーロッパ圏の国でも日本の3~5倍ほどに上るそうです。

前提知識:いわゆるクレームを claim とは言わない

日本語では、商品やサービスへの不満を提供者側(企業)に伝えることを一般的に「クレーム」と表現します。クレームは英語の  claim /kléɪm/に基づく語といえます。しかしながら、英語の claim は基本的に「主張」「要求」を意味する単語であり、日本語の「クレーム」のように「苦情」「不満を呈する」といったニュアンスは特にありません。

complaint が相応

日本語の「クレーム」の意味合いにほぼ対応する英単語には complaint /kəmpléɪnt/が挙げられます。

ケンブリッジ英語辞書の定義を借りれば、complaint の意味は「a statement that something is wrong or not satisfactory」(何かが間違っている、もしくは気に入らないことを伝えること)。

不満の表明という意味合いはあっても、相手側を攻めたり非難したりする意味合いは特に定義には含まれない、という点も留意しておくべきかも知れません。


不満・残念・立腹の気持ちを伝える

苦情を申し入れる際には、自分が残念な(腹が立っている)気持ちを伝えましょう。淡々と事実を述べるだけよりも、相手に自分の存在を印象付ける意味があります。

I am disappointed with

~について残念です

disappoint は「失望させる」という意味合いの他動詞です。自分が「失望した」と述べる際には be disappointed と受け身の形で表現します。

残念に思う気持ちが強いのであれば、強調する very を使って I am very disappointed with と言っても良いでしょう。

there is something wrong with you

あなたがたに非があります

there is something wrong with you は相手に非があると指摘する際の定型的フレーズです。

I regret to say that I was disappointed with you

失望をお伝えしなければならず残念に思います

regret to do は「残念ながら~する」「~することを残念に思う」と訳します。I regret to say I regret to inform などの形で使われることが一般的です。

I regret to say that I was disappointed with you は強い不満を述べる一文であり、同時に、かなり婉曲的な表現です。苦情を言いにくい相手や、十分に尊重しつつ接するべき相手に対して敢えて苦情を述べるなら、この程度の遠回しな表現でもやり過ぎということはありません。

I am sending this email to complain about

苦情をお伝えるためにメールを差し上げました

complainオックスフォード英語辞書で引くと、「to say that something is wrong or not satisfactory」(何かが間違っている、もしくは気に入らないと言うこと)と説明されています。日本語の「苦情を言う」に当てはまる動詞です。

complain to A about B で「AにBについての苦情を言う」と訳せます。about の代わりに of を使うこともあります。


不満の原因・要因・過程を具体的に伝える

苦情を言う際には、相手に「いつ」「どこで」「どんなことが」起こったのかを正確に伝える必要があります。

商品・サービスを得るまでの過程について伝える

まずは、あなたが「いつ」「どこで」「何を」得たのかを伝えます。

基本のフォーマットは、「On (日付), I(動詞)(商品、サービス名)at(商品を買った場所、サービスを受けた場所).」です。
※on は特定の日にちについて述べるときに使う前置詞です。on の後には、月、日、年の順で単語が続きます。

On January 2nd, 2000, I bought your rice cooker at the second store in Shibuya.
2000年1月2日に、渋谷2号店で貴社の炊飯器を買いました

商品・サービスに何が起こったのかを伝える

次に本題といえる「苦情の内容」、すなわり「製品に何が起きたのか」という点を伝えます。

苦情の内容は千差万別ではありますが、苦情のタネになりやすい要因(よくある苦情の原因)もあります。おおかたの苦情は数種類のパターンのどれかに絞られてくるでしょう。

「受け取った時点ですでに破損していた」

When I received the book, some of the pages were damaged.
その本を受け取ったとき、数ページが損傷していた
I found the products that you sent to me were completely damaged.
発送いただいた商品は完全に壊れていた
It seems that the chairs were damaged during shipping.
イスは出荷中に壊れてしまったようです

「自分の希望した商品と違っていた」

The product I received was used.
新品と思っていたが中古品だった
The size of the skirt is different from what I ordered.
注文とは異なるサイズのスカートが届きました
※size を color に換えれば「注文とは異なる」、 quantity なら「注文とは異なる数量」と表現できます。

「商品が正常に作動しない」

The keypad doesn’t work properly.
キーパッドが正常に動きません
Your hair drier has not performed well.
ドライヤーがうまく動きません
The printer is out of order soon after I used it.
プリンターが使ってすぐに壊れてしまいました

「店員の態度が悪い」

The service in your store was very bad. The staff kept talking and did not care about the customers.
貴店のサービスはかなり質が低い。従業員はしゃべってばかりで客を気にすることもなかった
bad を terrible に換えると「おそろしく低質」と強調できます。

要求・要望を伝える

適切で前向きな苦情には、問題について希望する解決方法も必要です。商品・サービスについての問題を指摘した後は、どうして欲しいのかを伝えましょう。

ただの(純粋な)苦情なら「please take appropriate action」(善処ねがいます)というような言い方もアリですが、可能なら具体的に詳細に述べてあげましょう。

企業側にとって、ユーザーからの的確な指摘は、表面上どれほど辛辣な指摘であっても、品質向上に直結できる貴重なフィードバックです。

to resolve the problem, I would appreciate it if you could ~

この問題を解決するためにも、~して頂きたいと思います

to resolve the problem, I would appreciate it if you could ~ は仮定法を使っており、とても丁寧なフレーズです。「~」に入る解決手段としては、refund(返金)、repair(修理)、exchange(交換)などが挙げられます。

To resolve the problem, I would appreciate it if you could exchange it with the new one.
問題を解決する方法としては、新品と取り替えて頂ければと考えております

could I have a replacement as soon as possible?

すぐに代わりの品をいただけますか

replacement は「取替え品」「代替品」を表します。「できるだけ早く」を意味する as soon as possible は as quickly as possible と言い換えることもできます。

consequently, I want my money back

したがって、返金を求めます

consequently は「その結果」「したがって」を意味する副詞です。consequently を入れることで、最終的に話し手が何を言いたいのかを強調できます。

I want my money back で「返金を求めます」と訳せます。これでも良いのですが、返金してほしい金額をはっきりさせるために、money の部分に詳細な金額を入れるのも良いでしょう。

I want my $100 back.
100ドルの返金を求めます

I am requesting a total refund of the payment I made.

支払い金額の全額返金を求めます

request は「要請する」という意味の動詞です。want(望む)よりも、かしこまった印象を与えます。

返事と対応を待っていることを伝える

最後に一言、回答および苦情への色よい対応を待っている旨を伝えましょう。

I look forward to your reply and a resolution.
あなたの返事とこの問題解決のための対応を心待ちにしています

念押しの意味もありますし、メッセージの末尾の〆めの一言として調子が整います。

ちょっとした気遣いがコミュニケーションを円滑にする

苦情の連絡は決して敵対を表明する通達ではありません。あくまでも物腰は柔らかく、理解ある利用者としての立ち位置を保ちながら、物申しましょう。

感謝や期待を言い添えると吉

相手が個人でなく企業だからといって気遣い無用ということはありません。苦情の連絡にも前向きな一言があると企業側もポジティブな姿勢になれます。

「いつも利用しています」とか「期待しています」といった一言が苦情メッセージ中にあると、先方も救われます。それで見返りが増すわけではありませんが、感謝の意は伝えられるなら積極的に伝えましょう。

 


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