日本語の「たまたま」という表現は、偶然的・偶発的な様子を表現する言い方です。英語では happen to ~ で偶然的であるという意味合いが表現できます。
状況によっては lucky (幸運にも)と表現した方がうまくニュアンスが伝わるかも知れません。happen to ~ が文法的に面倒に感じるなら、 accidentally (偶然にも)のように表現する手もあります。
happen to ~ は偶然的・思いがけない意味合いを表現できる
意図しない、予期しない、思いがけずにそうなった、というニュアンスの「たまたま」は、 happen to ~ が幅広く対応します。
happen to は日本語で「たまたま」と述べる文脈ほとんどすべてに対応します。文章の主語が一人称(私)であっても、I happend to ~ と述べることで、それが自分の意志・意図によるものではなく、想定したものでもない、ということが表現できます。
happen to は、文章の主語と動詞の間に挿入するようにして用いられます。文の構造上は happen が動詞になり、もともとの(文意上の)動詞は to が従える動詞の原形になります。文章の時制の変化などは happen の方に影響します。
彼は彼女の秘密をたまたま知ってしまった
僕はたまたまそこにいたんだ
こうなったのはたまたまだ
ニュアンス別に「たまたま」を表現する言い方
「たまたまですよ、運がよかっただけ」という場合
良い(嬉しい)事柄について、実力や努力との因果関係を否定する意味合いで「たまたまですよ」と表現する場合があります。これは happen to ~でも表現できますが、 lucky (運がいい)と表現することもできます。
ホメられて謙遜するような意味合いでも使えますし、人の成功を幸運のせいだと言って貶める(負け惜しむ)ような場面でも使えます。
おめでとう!すごくいい走りだったよ
? Thank you, I think I was just lucky.
ありがとう、でもたまたま運が良かっただけだよ
あいつは本当の勝者じゃないよ、たまたま勝っただけだし
I’m lucky. と表現するだけでも「運のおかげ」といったニュアンスは十分伝わりますが、just や only といった語を添えると「運だけで」というニュアンスが強調できます。
「たまたま遭遇したんだ」という場合
偶然的で意図しないという事柄のうち、特に「遭遇」の意味合いを述べる場合は、come across をはじめとする慣用的フレーズがよく使われます。
come across
come across は主に「横切る」「(考えが)頭をよぎる」といった意味で使われる表現ですが、「出くわす」「偶然見つける」「遭遇する」といった意味でも用いられます。
遭遇する対象は問わず、人でもモノでも使えます。
今日、部屋を掃除していたら、たまたま古いラブレターを見つけたの
東京で有名人に遭遇することを夢見ていた
探していたものを見つける・見つかるという状況は find でも表現できます。とはいえ、全く予期していなかった(想定外の)発見というニュアンスを含めるなら、 come across の方が適切です。
stumble on
stumble on は、本来「つまずく」といった意味で用いられる言い方ですが、これも「思いがけず発見する」という意味でも使われます。つまづいて視線を地面に向けたついでに何か見つけたといったところでしょうか。
stumble on はどちらかというとモノを見つけるという意味合いで用いられます。しかも良いモノ・好ましいモノに出会うというニュアンスが多分にあります。人と会うという意味ではあまり用いられません。
歩いていたら不意に絶景がひらけた
きのうイイ感じのレストランを見つけちゃった
run into または bump into
run into は、「人とばったり会う」という意味で用いられる言い方です。多分に口語表現です。
run into は基本的には「~に走っていく(そして衝突する)」という意味の言い回しです。自動車の衝突事故や、トラブルに直面したというような場面で用いられます。人と遭遇したという意味の用法も、衝撃的な「鉢合わせ」のニュアンスを感じさせます。
bump into も、run into と同じく、本来は「衝突」「突き当たる」といった意味の単語であり、さらに「偶然に出くわす」という意味もある言い回しです。「偶然会う」という意味合いでは run into とほぼ同じニュアンスで使えます。
run into には「(針が)刺さる」とか「数量が一定水準に達する」といった、幅広い意味合いがあります。 bump into は「衝突する」「人に出くわす」の意味に限られます。
スーパーでたまたま元カノと出くわした
記念日だね!2年前偶然出会えたこと、本当によかったと思ってるよ
文末に一言加える形で「たまたま」と表現すると楽
通常の文の末尾に、luckily のような副詞を一言添えるだけでも、「たまたま」の意味合いは表現できます。
happen to ~ は汎用的に使える表現ですが、文の文法的な扱いが変わる点で少し面倒な表現でもあります。come across のようなフレーズも、動詞の慣れない使い方を覚えるという面倒さがあります。その点、通常の文の末尾に加えるだけで済む言い方は楽チンです。
luckily、accidentally 、unexpectedly
「たまたま」の示すニュアンスによっても違ってきますが、luckily、accidentally 、unexpectedly あたりの語を押さえておけば、ほほどんな場面も無難に表現できるでしょう。
- accidentally (偶然にも)
- luckily (運よくたまたま)
- unexpectedly (思いがけずたまたま)
accidentally は「うっかり」「やっちまった」的なネガティブなニュアンスを込めて用いられがちです。逆に luckily は「幸運なことに」「思いがけず良い結果だった」という嬉しさのニュアンスを込めて用いられます。
by chance、 by accident
by chance あるいは by accident といった表現も、「たまたま」「偶然」の意味合いを表現できる言い方です。これも特にヒネリもなく文末に付け足す形で使えます。
chance と accident という語からはポジネガ度合いの差がありそうな気配もしてきそうですが、by chance と by accident には意味合いやニュアンスの違いは特にありません。肯定的・否定的といったニュアンスを気にせず使えます。
昨日たまたま彼に会った
偶然にも彼はその人に会ったことがあった