日本語の「下らない」(くだらない)を英語で表現するなら、おそらく最も多くの場面で使える言い方は nonsense (ナンセンス)でしょう。いわく言いがたい独特の「くっだらねぇ」感を再現できます。
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文脈によっては、「馬鹿馬鹿しい」とか「無価値」といった意味で「くだらない」と言っているような場面もあります。こういう場合は「馬鹿げている」「カス同然」といった意味の英語表現で具体的に示した方がニュアンスは伝わるでしょう。
大前提として、日本語の「くだらない」も英語の nonsense も、対象を否定するネガティブな発言です。時と場合と言及対象をよくよく選んで使いましょう。
nonsense は幅広い文脈で使える絶妙な表現
nonsense は、日本語の「くだらない」が含む意味合いによく対応する語彙といえます。幅広い意味・ニュアンスを含み、どれもおおむね日本語の「くだらない」に近いニュアンスがあります。
- 馬鹿げている
- 無意味だ
- おかしい(変だ)
- 荒唐無稽だ
馬鹿げた考え、くだらない思いつき、筋の通らない理屈、たわごと、意味のない行動、現実味のない構想、等々。いずれの意味合いにしても《否定する》ニュアンスが根底にあります。
nonsense は基本的には名詞として扱われますが、名詞を修飾する形容詞的な使い方もあります。感動詞としてもよく用いられ、 Nonsense ! の一言で「アホか!」「バカ言いなさんな」くらいのニュアンスが表現できます。
シェフィールド・ユナイテッドFC、クリス・ワイルダー監督「こんな下らんことは今すぐに廃止しろ」
――The Star, August 31, 2017
対義語(?)は no-nonsense
nonsense の対義語のような表現で no-nonsense という言い方もあります。「現実的」「効率的」「しっかり効果がある」といった意味合いで、
ムシ刺されを速効でケアして痛み痒みを取り去るガチの治療法、それはあなたの家にもあります
――get SURREY, September 1, 2017
「馬鹿げている」の意味合いを表現する言い方
馬鹿げた話や、そういう馬鹿げた話をするタワケ者は、nonsense とも形容できますが、率直に「馬鹿だ」「ばからしい」と表現してしまう方法もあります。
会話の内容について「ばからしい」と述べるなら、主語は that が適切です。主語を you にすれば、そんな話をするお前が馬鹿だと述べる言い方にできます。
stupid、silly (ばか)
「バカ」に対応する英語表現としては stupid や silly といった語が挙げられます。
バカ・愚か・マヌケといった意味で用いられる表現そのものはたくさんあります。もちろん、どれも罵倒表現です。
stupid
stupid は「馬鹿」「まぬけ」といった意味合いで、形容詞あるいは名詞として使えます。日常的に用いられる言い方です。
なにそれ馬鹿みたい
silly
silly も「馬鹿な」「愚かな」といった意味の表現です。どちらかといえば分別がない愚かさを指すようなニュアンスを含みます。
馬鹿言わないでよ
absurd、ridiculous(ちゃんちゃらおかしい)
absurd や ridiculous は「馬鹿げている」「馬鹿馬鹿しい」「笑止千万」といった意味合いの語です。笑っちゃうような滑稽さや、笑えない荒唐無稽さなどを表現できます。
absurd
absurd は「不合理」「道理に合わない」といった意味合いを基本とする語で、何だかヘンテコな調子、あるいは、うつけ者のスットコドッコイ加減などを形容する意味合いもあります。
不合理・不条理という意味合いが基底にあるだけに「馬鹿げている」のニュアンスをくみ取りやすい語といえます。
全くもって馬鹿げている
ridiculous
ridiculous はどちらかといえば「あほらしい」「あほくさい」「笑っちゃうほどくだらない」のようなニュアンスを含む語です。日常会話でも幅広く使える便利なフレーズです。
母さんが言うこういうパーマは変だと
「無価値」「ゴミ同然」と表現する言い方
「くだらない品」「くだらない番組」というような場合の「くだらない」は、「取るに足らない」「大したことがない」「価値がない」といった評価に言い換えられます。
trashy、rubbish(つまらないゴミ)
trashy
trashy は名詞 trash(ゴミ)を形容詞化して語で、「ゴミみたいな」「ゴミくず同然の」くだらない代物、を形容できる言い方です。
なんてくだらないテレビ番組
rubbish
rubbish は主にイギリス英語で「ごみ」「がらくた」という意味で用いられる語です。「くだらない」と訳すべき語義もあります。馬鹿げた考えや駄作・凡作を表現する意味合いでも使われます。
rubbish は主に名詞として用いられ、動詞および感動詞の用法もありますが、形容詞の用法は基本的にありません。
この本は実に下らない内容だった
shitty、crappy(クソみたいな)
最低最悪の代物を糞便に喩えて罵る、これは日本語に限らず英語やその他の言語でも普遍的に見られる傾向です。
shitty
英語で「くそ」を指す代表的な語には shit があります。これを形容詞化して shitty といえば、「クソみたいな」と酷評する表現になります。
なお shit のごとき語彙は four-letter-words と呼ばれる禁句・口にすべきでない汚い言葉です。使いどころには要注意です。
talk shit
shit を名詞そのままで用いる言い方に talk shit という熟語的表現があります。冗談・嘘・くだらないことを言う、といった意味で用いられる俗な表現です。
アホなこと言ってんじゃないよ
talk には自動詞と他動詞どちらの用法もあります。他動詞として捉えれば「うんこについて喋々する」という意味合いと解釈できます。
nonsense も名詞なので talk nonsense (くだらないことを話す)とも表現できます。
crappy
crappy も名詞 crap(クソ)を形容詞化した表現で、クソみたいな代物を指す語として使えます。
crappy は「たちが悪い」「劣悪」「最低」というニュアンスも多分に含みます。crappy は汚い俗悪な表現なので使いどころは限られますが、モノの劣悪さ加減を表現する語彙としてはかなり優秀です。
worthless(無価値)
worthless は worth(価値)+-less(~がない)ということで「無価値」「(~)に値しない」「役に立たない」といった種類のくだらなさを表現できる言い方です。
その映画は見なくていい、見る価値がない
waste of ~
waste of ~ は、直後に名詞を続けて「~の無駄」と述べる言い回しです。たとえば waste of time(時間の無駄)。具体的に何を無駄にするのか(何を費やす価値がないと述べるのか)を具体的に表現できます。
- waste of time (時間の無駄)
- waste of a talent (才能の無駄づかい)
- waste of energy (エネルギーの浪費)
- waste of labor (骨折り損)
授業に出たくない、あんなの時間の無駄だよ
「ハイハイ嘘乙」と表現する言い方
話の内容が全くの妄言・嘘ッぱち、という場合に「くだらないウソをつくなよ」という風に形容する場面もあります。
bullshit(たわごと)
「くだらないウソ」のニュアンスは、英語では bullshit (たわごと)が一番うまく表現できるでしょう。デタラメ・たわごと・ろくでもない嘘といったニュアンスを表現できます。
くだらない冗談や虚言について bullshit と言えば、ちっとも面白くない・ただ呆れるばかりだ、というような心境を表明できます。
君のくだらない嘘はもうたくさんだ
bullshit は bull(雄牛)+shit(くそ)という構成の語であり、意味もさることながら字面も下品きわまる表現です。使いどころは選びましょう。
blah blah blah (はいはいそうですね)
blah blah blah は、会話中の相づち表現として用いる場合、相手の言葉を軽く「へいへい」と流すような応答を示す表現になります。
blah blah blah は、自分の発言の中で(特に他人の発言を引用するような場面で)、些末な部分を省略して「云々」「~とかなんとか」と言って済ますような意味でも多く用いられます。
That’s funny. (そりゃ面白いねーほんとに)
会話の中で「下らんな~」と表現する場合、直接それと述べるのではなく、皮肉の手法でポジティブな語彙を使って表現する手もあります。
たとえば、Oh, that’s funny. 。字面だけ見れば褒め言葉ですが、これを真顔・棒読み・無関心な雰囲気を漂わせながら言うと、「全くおもしろくない(けどノってあげるわ)」という嫌味なニュアンスが大いに伝わります。
日本語では「わー、おもしろーい(棒)」といったところでしょうか。
皮肉はユーモアがあってこそ成立するものです。愛嬌の感じられるような使い方を目指しましょう。