美しいモノや人や出来事に接した際の感動を、英語で表現することは、簡単といえば簡単です。しかし他方では非常に奥深くもあります。
基本的には beautiful で何でも形容できます。Oh, … it’s beautiful. とでも言えば安泰。小難しく考える必要はありません。
beautiful じゃ何だか物足りない、もっと上手く表現したい、といった欲を感じ始めたら、もっと伝わる雅趣のある上手な表現を探してみましょう。
目次
たいてい beautiful で無難に表現できる
「美しい」にもさまざまな種類の美しさがありますが、美のニュアンスに応じて対応する英語表現が違ってくるようなことは特にありません。日本語で「美しい」と形容できる種類の美しさは beautiful でだいたい無難に表現できます。
- 人の美しさなら、顔立ち・肢体・声・人柄・生き様なども beautiful で形容できます。
- 自然の美なら、動植物・無機物・景観・自然現象なども beautiful で形容できます。
- 人工物なら、芸術はもちろん建築物・服・調度品・工業製品なども beautiful で。
- 抽象的・概念的な物事も、言葉・思想・模様・色合いなど、とにかく何でも。
- つまり、とにかく何でも。
単に「美しい」と述べるだけなら、ことさら言葉をひねらなくても beautiful と言えば穏当に通じるというわけです。
言い換えには「美しい」に固執しない柔軟さが重要
美しさを表現できる言い方はもちろん beautiful だけではありません。他の表現を使って、美しいさまを伝達することは十分に可能です。
ただし、この領域は単に英語の語彙力があればよいというものではありません。自分が感銘を受けた「美しさ」を咀嚼して言葉に落とし込む言語感覚・言語センスが問われます。
人の見た目を「美しい」と形容する場合
人を褒める表現として、相手に向かって beautiful という語を使うことは、実際にはあまりありません。
うかつに人の容姿(特に女性の身体的特徴)に言及すると、不快感を与えてしまう可能性があります。性的なニュアンスをはらんだ下品なナンパと思われるかも知れません。
気軽に「素敵だね」と言うくらいのニュアンスを表現したいなら You’re so pretty. とか You look good today. のような言い方が適切でしょう。
もうすこし典雅な表現を使うなら、見た目ではなく佇まいに着目した表現を選ぶとよいでしょう。たとえば elegant や graceful などの言い方は、言葉もさることながら着眼点が上品です。
顔立ちのよさなら handsome、good-looking
顔立ちの美しさを褒める形容詞としては handsome や good-looking が挙げられます。
handsome
handsome はもっぱら男性の(男性的な)美しい目鼻立ち、男らしい精悍さを形容する表現です。女性を handsome と形容する場合もありますが、これは「貫禄がある」「強靭である」といったニュアンスが中心で、容姿の美しさを褒める意味合いはありません。
good-looking
good-looking は男女を問わずに使えます。男性のカッコイイ容姿も、女性の見目麗しさも表現できます。美男美女と表現する際にはいちばん使いやすい表現と言えるでしょう。
ただし、あくまでも外見に着眼した言い方なので、話の脈絡によっては「内面をないがしろにしている」「人柄を評価していない」と受け取られて心証を損ねる場合があるという点に留意しておきましょう。
not be just a pretty face (見かけだけじゃない)のような一言を添えて、「外見だけじゃなく知性もある」と付け加えてもよいでしょう。
fair
少し古風な言葉としては fair があります。「マイ・フェア・レディ」の fair 。女性の美しさを形容する言い方です。
fair は肯定的な意味合いのあらゆる評価に使える表現です。昨今では、女性の美しさを形容する意味合いでは使われず、「麗しい」くらいの古めかしさを感じさせます。かえって雅びなニュアンスが演出できるかもしれません。
comely も古風な単語で女性の見目よさを言うのに使われます。
bonny
bonny は主にスコットランドで用いられる単語で、女の子の可愛さを表現する言い方です。健康的でふくよかな赤ちゃんに向けても使われます。
eye candy
目を楽しませる人や事物のことを eye candy と言います。日本語だと「目の保養」にあたるでしょうか。
eye candy は「外面だけは良い」というニュアンスが色濃く、暗に「中身がない」「内面は面白くない」「役に立たない」と述べる含みがあります。
「かわいらしい」美しさは lovely、pretty
lovely も pretty も日本語としては少女らしさが強い「かわいらしい」といったイメージですが、本来の意味は少し異なります。
lovely はニュアンスとしては「素敵」に近く、人だけでなく事物にも使用できます。 pretty は美しさを兼ね備えたかわいらしさであり、女性や、女性に関連した物に対して使われる形容詞です。
思わず抱きしめたくなるほど愛らしい存在には adorable と言いましょう。赤ちゃんや子犬など、目に入れても痛くないような小さくてかわいいものに対しての愛おしさを表現するにはぴったりの単語です。
愛嬌のある、あどけないかわいさに対しては winsome という言葉もあります。
もはやかわいすぎて天使だ!となった場合は、「天使のような」という形容詞 angelic あるいは seraphic のような表現もよいでしょう。
ただし、愛おしさを伝えるという意味では I love you so much ! のような率直なストレートな表現の方が伝わります。
スラリと上品な姿の美しさは sylphlike、svelte
女性のほっそりとして優美な姿を形容する表現に sylphlike /sɪlflʌɪk/ という語があります。おおむね日本語の「たおやか」に対応する、風雅なニュアンスの表現です。
sylphlike の同義語に svelte /svélt/ があります。こちらはフランス語に由来する語です。意味は同じ。
もちろん「slender and graceful」のように述べれば同じ趣旨が表現できます。
zaftig
ふくよかな(肉付きのよい)女性的魅力を表現する語としてzaftig /zaftɪɡ/ が挙げられます。いわゆる「ふとりじし」、ぽっちゃり系。
zaftig はアメリカ英語のスラングです。面と向かって本人に伝える種類の言葉ではないので注意しましょう。
女性の曲線美は curvy、curvaceous
女性の曲線美は curvy と表現できます。curvy は curve の形容詞形で、「曲線が多い」「曲線が美しい」といった意味の語です。
同種の表現に curvaceous /kəːveɪʃəs/ もあります。こちらはもっぱら「女性の曲線美」の意味合いでのみ用いられる語です。
ほっそり系ではなくて、出るとこ出てて引っ込むところは引っ込んでるような豊満さ、そういう種類のナイスバティーを表現する語です。官能的なオトナの女というイメージを色濃く含みます。
やはり本人に面と向かって言うのは避けた方が穏当でしょう。
セクシーで官能的な美しさは sensual、voluptuous
curvy よりもさらに艶っぽい表現として sensual が挙げられます。官能的・肉感的な美しさを表現する語です。
sensual は sense から派生した形容詞です。ちなみに sensitive、 sensible も、同じく sense から派生した形容詞。混同しないよう注意しましょう。
voluptuous も、性的な魅力を具えた女性を形容できる単語です。こちらは文語表現として「至極」という意味合いでも用いられます。たとえば the bed’s voluptuous warmth.(閨の極上の温もり)というように用いられます。
日本語では胸や尻のでかい女性を指して「グラマー」「グラマラス」と形容することがあり、これは英語の glamorous を基とする表現と言えますが、その英語の glamorous にも女性の魅力に満ちたさまを形容する用法があります。ちなみに glamour は名詞です。文法は grammar。
剛健な体格の美しさは well-built
いわゆるガタイの良さは well-built で表現するとしっくり来ます。
well-built は建築物の形容にも用いられて「しっかりとした造り」という意味を示します。人の肉体を形容する場合には、よく鍛えられた肉体というニュアンスが表現できます。
モデルさんみたいに均整の取れた姿を褒める場合には shapely と表現するとよいでしょう。shapely は特に女性の体つきを(全体的に、または部分的に)形容する場合に用いられます。
彫刻的な造型の美しさは sculptured、statuesque
sculptured は「彫刻(で造型)された」という意味の語で、あたかも彫刻作品として作られたかのような肉体美を形容する語としても使えます。
sculptured は男女問わず使える表現です。男性的に sculptured な肉体は、くっきりと隆起した強靱さを感じさせる肉体。たとえばダビデ像やラオコーン像のような。女性的な姿は多分きっとミロのヴィーナスのような。
女性的な彫刻的な身体美は statuesque とも表現できます。とりわけ背が高くて優美さと共に威厳も感じさせるような女性を形容する語です。ミロのヴィーナスは statuesque の方がニュアンスが近いかも知れません。
写真うつりの良さ、写真に撮られるとすごく見栄えがするさまを指す語として photogenic という言い方があります。同様に、テレビ映えするさまを telegenic と言います。
人の内面や性質を「美しい」と形容する場合
目に見えない抽象的な美しさを、どのように美しいのか具体的に述べる場合、美しさの質を分析してかみ砕いた表現に言い換える工夫が必要です。
美しいと感じた部分は、性格の実直さ(honest)なのか、あるいは、一連の行動の壮烈で悲壮な感じ(heroic)なのか、劇的な感じ(dramatic)なのか。
対応する表現はあるといえばあります。使うかどうかはまた別問題として捉えておきましょう。
立ち居振る舞いの淑やかな優美さは elegant、graceful
佇まいや身のこなしを褒めるなら elegant や graceful がもってこいと言えます。
elegant は人物の物腰の柔らかさ、立ち居振る舞いの優美さ、頭脳明晰な聡明さ、思考や計画の明瞭さ・素晴らしさなども形容します。あるいは、衣服や調度品などの物事の上品さも形容できます。
graceful はもっぱら人物やその動作・態度の優美さを表現します。モノを形容する使い方は基本的にはありませんが、言葉や感情を「誠意がある」「潔い」と形容する場合に graceful が用いられることがあります。
suave /swάːv/ は主に男性の人柄を形容する表現で、人当たりの良さ、物腰の柔らかさ、朗らかで上品な魅力を持つさまを形容します。
老紳士の威厳と品格が感じさせる美しさは dignified がピッタリです。
徳のある美しさは virtuous、高潔さは noble
高徳と言い換えられる種類の美しさは virtuous とも表現できます。高潔な美しさは noble がうまくハマりそうです。
virtuous はやや嫌味や皮肉で使われやすい傾向があり、偽善的・独善的というような非難めいた意味合いを含んで伝わる場合があります。
自然について「美しい」と形容する場合
見晴らしがいい美しさは sightly、majestic
「見晴らしが良い」という意味を中心とする景観の美しさは、sightly で表現できます。これは主にアメリカで使用されている単語です。
大自然の雄大さ・荘厳さを感じさせる景観は majestic と形容してもよいでしょう。
平和・平穏・晴朗な感じは serene
のどかで晴朗で平和な様子は serene /sɪriːn/と表現できます。
のどかな天気。澄み渡った青空。凪いだ海。あるいは、落ち着いた暮らし、安らかな毎日。「穏やかで平和」「平穏」というニュアンスなら幅広く使えます。
晴れやかな美しさという意味なら radiant も良いでしょう。radiant は燦然と光り輝く様子を表現する言い方です。明るさの度合いを表現する言い方は、それ自体、美しさの形容にもなり得ます。
景勝の見晴らしは scenic、picturesque
scenic はズバリ「風光明媚な」と述べる表現です。景勝・名勝の美しさを表現するにはぴったりの表現です。
picturesque は「絵のように(美しい)」と表現する語で、風景写真として特に好まれる感じの景観や、古風な趣のある場所を形容する場面で使える言い方です。白川郷の合掌造の集落なんかは picturesque な景観といえるでしょう。
venerable は、高潔な美しさを持つ高齢や高位の人物、宗教的・伝統的に価値のある寺院などを形容する表現です。日本語の「神さびた」「古色蒼然たる」といった表現に近いニュアンスでしょう。
静謐で落ち着いた景色は tranquil とも表現できます。
芸術の「美しさ」を形容する表現
音楽的な美しさは melodious、virtuoso
音楽を聴いて感じられる「美しさ」も、もちろん beautiful と形容できるわけですが、特に旋律の心地よい美しさは melodious と形容できます。
melodious は「音色の美しさ」や「音楽的な(美しさ)」という意味でも用いられます。melodious voice といえば「いい声」。
dreamy
音楽的な優美な旋律の美しさを表現するなら、思い切って dreamy のような形容を使ってみる手もあります。dreamy は「夢幻的な」、「夢見るよう(に美しい)」という意味合いの表現で、音楽に限った形容ではありませんが、音楽のような抽象的な(「心地」を表現する)話題には特に使いやすい表現です。
virtuoso
演奏技術の素晴らしさを表現するなら virtuoso /vəːtʃʊəʊsəʊ/ という表現も使えます。virtuoso は、名詞としては「芸術の大家」「卓越した奏者」「名手」といった意味合い。形容詞としては「名人のなせる(技)」というような意味があります。
芸術的な美を感じさせるさまは aesthetic
aesthetic は「美学」という学問を示す言葉であり、芸術的な美を感じさせる様も意味します。美学的・審美的というニュアンスです。
「審美眼のある」という意味で用いられる語には tasteful もあります。tasteful は「風流を解する」「粋な」「お目が高い」というニュアンスを多分に含む語彙です。
古風で風変わりな趣きがあるさまは quaint
古めかしい美しさを感じるものを形容する単語としてには quaint があります。「風変わりな」というニュアンスも含んでいます。
奇妙な感じもあるけれど、その奇妙さも趣として肯定的に評価できるさま。お伽噺に出てきそうな造りの建物などを形容する表現として多用される向きがあります。
詩情豊かな美しさは poetic
情緒が豊かで、一編の詩のようだと形容したくなるような種類の美しさは、 poetic と表現できます。
この「詩」は必ずしも文章表現としての詩と捉える必要はなく、比喩的に「詩的」といえる広い場面で使えます。たとえば視覚的構図を poetic scenery と形容する場合、おおむね「映画のワンシーンのような」というニュアンスが込められています。
幻想的な美しさを強調するなら romantic という形容も良いでしょう。感情に訴えかけるものがあるという意味合いを込めるなら emotional という表現も使えます。
精妙緻密な美しさは delicate、exquisite
繊細で優美、かつ、壊れやすい美しさについては delicate が使えます。 感受性が鋭く高尚な人に理解され得る精妙な美しさについては exquisite という表現もあります。
bijou はフランス語に由来する語で、小さく優美なものを形容します。衣服を装飾するジュエリーをビジューと呼んだりしますが、そのビジューです。
知性的な事柄を「美しい」と形容する場合
手際がよく簡潔な美しさは neat
neat はきちんと整っていてさっぱりとした感じを表現する語です。身なりの清潔さ、仕事の手際のよさ、言葉や文体の簡潔さ、均整のとれた形、等々、整っていてすがすがしい感じなら何でも形容できます。
発音は /niːt/ 。ニート。あっちのニートの綴りは NEETです。
見識のある思考の美しさは sophisticated
教養があり、見識もあって、考え方も洗練されているさまは、sophisticated と表現できます。
sophisticated もやや皮肉めいた意味合いを込めて用いられる向きの強い言い方と言えるかも知れません。「凝った」「インテリ向けの」という意味合いを込めて用いられることがあります。
理路整然としていて明瞭な文章は logical と言っても良いでしょう。これも褒め言葉です。
profound は、人に関して用いられた場合は「学識が深い」、書物や思想に関しては「意味深長な」という意味になります。日本語の「幽玄」は、趣深くて深遠なさまを示す語ですが、これは英語では「subtle and profound」のように訳されたりします。
思い切って「名状しがたい」と述べる、subtle
subtle は「微妙な」「わずかな」という意味合いを中心とする語ですが、「とらえがたい」「名状しがたい」のような意味を込めて美しさの形容としても使えます。「何とも言えない美しさ」と述べているようなもので、ちょっと反則気味の表現。
深い感銘を受けるという意味で impressive
impressive は印象深く、深い感銘を与える言葉や考え、人物などについて使える言葉です。もはや対象の美しさの何たるかを描写しようとはせず、感動した!と述べることで美しさを表す、コペルニクス的な何かを思わせる表現です。
印象的という感想を抱いたなら impressive と形容しましょう。
尊敬を浴びる、称賛に値する美しい行いや文章、仕事などに対しては admirable が使えます。たとえ小さくとも、失敗に終わっても称賛に足りるものを laudable と言います。「見上げた」「あっぱれな」と訳すとよいかも知れません。
「美しい」に固執せず表現を見出す方法
「魅力的」「すごい」と形容する
美しい物事の美しさを beautiful 以外の語彙で表現しようとすると、どうしても、ちょっと凝った表現を模索しなくてはいけません。少なくとも、beautifulの同義語表現と考えている限りは。
「美しい」という概念を「魅力的」とか「すごい」とか「素晴らしい」「かわいい」というようなホメ言葉に置き換えるだけでも、状況は大きく変わります。主観的で漠然とした表現ではありますが、評価対象を明示しつつ述べるなら発言の趣旨は十分に伝わります。
たとえば、女性のほっそりとした美しさを賞賛したい場合。sylphlike と表現すれば一語で形容できますが、別にそう言わなくても attractive body shape(魅力的な体型)とでも言えば趣旨は十分に表現できます。
むしろいボカした方が英会話としては良いかも
どのように魅力的か、という要素は、あまり具体的に言及しない方がよい、という側面もあります。《ほっそりして魅力的》と述べるよりは、単に《魅力的》とだけ述べておいた方が、語弊もなくて無難だったりします。
「魅力的」の表現も幅広い
- attractive
- fascinating
- alluring
- tempting
- enticing
- seductive
- captivating
「すてき」「すばらしい」の表現も幅広い
- wonderful
- fantastic
- amazing
- awesome
- smashing
→ 「すごい」「すばらしい」を伝えるレベル別表現
→ 「かわいい」を英語で表現する
「《すごく》美しい」と表現して済ませる
美しさの種類や傾向を表現することに固執しないのであれば、「美しい」と形容する表現は beautiful に固定してしまって、その度合い・程度を副詞で表現してみる方法も使えます。
- very beautiful
- so beautiful
- pretty beautiful
- really beautiful
very は客観的事実を述べるニュアンスがあり、書面や面接のような「公的な場所」では好まれる表現です。
対して so は個人の主観を述べるニュアンスが強く、カジュアルな表現でもあるので、わりと気さくな親密な間柄で用いられる向きの強い表現です。
pretty は very や extremely ほどではない程度、日本語の「かなり」に近いニュアンスの表現。 really は意味ニュアンス共に日本語の「ホントに」の感覚で使える表現です。
「美しい」という形容表現を捨てても表現できる
さんざん「美しい」の代替表現として使える形容詞を紹介しといて何ですが、べつに形容詞を使って形容しなくても趣旨を伝えることはできます。
たとえば、綺麗な装いを褒める場合、別に「実に美しい色合いの服ですね」と言わなくても、「その服がステキ、好き」と表現できれば伝えたい趣旨はほぼ伝えられるわけです。
日本人が日本語文章をベースに英語表現を組み立てようと試みる場合、この手の発想の転換ができずアタフタしてしまいます。描写を諦めて自己表現に徹するという観点はわりといろんな場面で役立ちます。
今日の髪型イイね
そのジャケット君によく似合ってるよ
今日オシャレだね
比喩表現を使ってみる
比喩を用いた、少し遠回しで間接的な表現を用いるのも手です。
・gorgeous(目の覚めるような、目が眩むような)
・drop-dead(ハッとするような、目を奪うような)
・fetching (目を引くような)
・stunning (心を奪われるような)
・knockout (心を打たれるような) ※形容詞的用法があります
・taking (ほれぼれするような)
「as~ as~」を用いた比喩表現もあります。
彼女はバラのように美しい
君の説明は水晶のように明瞭だ(=分かりやすい)
感嘆文で感銘を受けた度合いを表現してみる
感嘆表現を用いて、美しさの方向性よりも美しさの度合いを示し、勢い任せで感動を表現する方法も、現実的な方法です。
What を用いる場合は「What+(a, an)形容詞+名詞+S+V!」の形を、 How を用いる場合は「How+形容詞(副詞)+S+V!」の形を取ります。
あなたはなんて美しいんでしょう
なんて素晴らしい日なんだろう
表現の基礎は英語力というよりも言語力にある
beautiful のような表現について、うまい言い換え表現を駆使するには、単に英語の語彙力を育てるだけでなく、表現や視点を転換する発想力が求められます。
発想力の錬磨は英語でなく日本語でも可能です。柔軟な思考で言葉を練る練習を積んでみてはいかがでしょうか。
日本語ベースで表現の言い換えを練習する
日本語で「美しい」「きれい」と感じる場面があったら、美しい・きれい以外の表現でどう形容できるか練習してみましょう。
紅葉の美しさはどう言い換えられるか?
寺社の佇まいの美しさはどう言い換えられるか?
探査機「はやぶさ」が大気圏に再突入して散っていったあの姿は「美しい」以外にどう形容できるだろうか?
言い換えはできるだけ平易な語彙に直した方が、英語の表現力に役立ちます。「楚々とした」とか「眉目秀麗」といった語彙で言い換えても英訳語がなかなかありません。(それでも日本語の語彙力醸成にはつながるので無駄ということは全然ありませんが)
小難しい語彙を使っても得にならないと割り切る
英会話で使われる表現にも、《日常会話レベルの語彙》とか《文献レベルの語彙》というような判定基準があります。
わりと非日常的な難しい形容詞や英語表現を好んで使うと、かえって趣旨が伝わらなかったり、衒学的な(知識をひけらかすような)印象を与えてしまったりする、という点も危ぶまれます。
自分の語彙力・表現力ではとうてい言い表せられないような美しさに出会ったら、下手に表現をヒネらずに《beyond the description》(言葉にできない)と表現する、という心意気でもよいでしょう。
- 熾天使さえも平伏する至高の無二の美しさでおわす
- とーってもスゴく美しい
- いいね!
表現の語彙レベルをあえて落とすことも手です。平明な表現に言い換える工夫は、英会話スキルの向上にもきっと役立ちます。