日本語の「信じる」に対応する英語表現は、動詞だけでも複数種類あり、文脈と意味合いに応じて使い分ける必要があります。
日本語でも漢語表現で「信じる」を言い換えようとすれば、信用、信頼、信憑、等々から言葉を選ぶ必要に迫られます。これと同じことです。
たとえば「私を信じて」と伝えたい場合、 Trust me ! と表現するべきか、あるいは Believe me ! と表現するべきか。内容が内容なだけに、しっかり適切なニュアンスを把握して言葉を選びたいところです。
「信じる」に対応する英語の動詞
「believe」は信念を受け入れて信じるさま
believe は、日本語の「信じる」に幅広く対応する、最も基礎的で一般的な動詞といえます。
believe の根底的ニュアンスは《私はそれが正しいと考えている》という部分です。「考えている」という点がニュアンスの中心となり、think と言い換え可能な文脈で believe が用いられる場合も多々あります。
Believe me! というフレーズには「私はこう思っている(あなたにも受け入れて欲しい)」と訴えかけるニュアンスが見いだせます。
believe は「確信」などと訳されやすく、「信仰」「信心」といった宗教的な意味合いでも用いられますが、日常会話の比較的軽い意味合いでも多く用いられます。
彼は正直な人だと強く信じている
あの坊やはまだサンタクロースを(実在するものと)信じている
あなたにはこの問題がきっと解決できると信じていますよ
ねえ信じてよ本当に幽霊を見たんだってば
「trust」は証拠なしに真実であると受け入れるさま
trust は「事実・真実や能力を信じる」というニュアンスを中心とする語です。証拠や裏付けが特になくても受け入れるさま。日本語の「信頼」に近いニュアンスです。
trust は believe よりも重みのある言葉です。 Trust me ! には「任せてください」「わたしの力を信じて委ねてください」というニュアンスがあります。
彼の言うことは信用ならない
細部に関しては支店長に委ねよう
大丈夫、あなたを裏切ったりしないから
「credence」は証拠によって信用に値するさま
credence は、信じるに足るだけの証拠があるから信じる、というニュアンスを含む表現です。日本語の「信用」が近い言い方でしょう。
give credence to ~ という言い回しは、「(~を)信じるに値するものだと思う」という意味合いで「信じる」様子を表現する言い方です。これとは逆に「信じない」と述べる場合は refuse credence to ~ と表現されます。
世間ではこんなばかばかしい話を信じている
彼女が泣いたことで、この話にはそれだけ信憑性が加わった
弟のような奴が信じられるか、弟はいつも私に嘘をつく、弟を信用なんてできない
「convince」は納得して信念と化した確信
convince も「信じる」という意味合いで用いられる語です。たいてい be convinced of の形で用いられます。of に代えて that が用いられることもあります。
convince の語は「確信を抱く」という意味合いを中心とする表現です。「本物だ」「間違いない」と得心し、納得して、そういう信念を抱くに至った、といったニュアンスがあります。
convince は fully 、totally、absolutely といった副詞表現を添えて強調して用いられることも多々あります。
彼は、母が無実であるという確信を抱いていた
あれは単なる偶発的事故だったと信じて疑わない
「rely」は信頼して当てにするさま
rely は基本的には「頼る」という意味で用いられる動詞ですが。「信頼する」「信じる」という意味合いで用いられることがあります。
「信じる」よりも「信じている」とでも訳した方がニュアンス的に近そうです。
rely と似た意味合いの語に depend がありますが、depend は「盲信」あるいは「相手に頼りきる」というニュアンスをより強く含みます。
あなたがそこに来てくれると信じています
彼の口の堅さは信頼できる
彼女の言葉は信頼できるよ、心配することなんてないさ
「credit」は取引のニュアンスにおける信用
credit にも「信じる」に相当する意味があります。特に形容詞として credible (信用のおける)の形で用いられます。
credit は「信頼」「信用」あるいは「評判」「名声」「人望」といった意味を含みます。あえて言えば、金銭のやりとり等を含むビジネスライクな意味での「信用」のニュアンスが根底にあると言えそうです。
妻の話を信じていた
まったくそのとおりだよ!
信用してもらってもいいと思いますがね
動詞に頼らず「信じる」と表現する言い換え方
動詞で直接に「信じる」と表現する言い方でなくても、文章全体の趣旨から「信じる」という意味合いを伝えることは可能です。
文章を根本的に言い換える発想を鍛えましょう。
相手の発言内容を「信じる」と表現する言い方の例
その通りだと思うわ
自分もそうだと思う
自分の発言内容を「信じて」と表現する言い方の例
間違いないよ(誓ってそうだよ)
間違いないよ(賭けててもいいよ)
断言するよ
第三者を「信じられる」と表現する言い方の例
彼はとても篤実な人だよ
彼は約束を誠実に守る
彼は正直さの塊みたいな人だから
事の次第を「信じてよい」と表現する言い方の例
必ずやるよ
彼はきっと勝つさ
間違いなくここに戻ってくるからね
心から君を愛しているんだ