「しかし」や「けれども」は、英語では but や however などの単語で表現できます。これらは、文章の脈絡が前後で食い違う(前述の内容が覆される)ような文をひとつの文脈にまとめて述べる「逆接の接続詞」です。
but や however の他にも、英語には逆接の接続詞が色々あります。
ここがポイント
- but 、 however (しかし)
- although 、 though (~であるとはいえ)
- in spite of 、 despite (~にもかかわらず)
- even (~でさえも)
- in contrast (これに対し)
- on the other hand (一方で)
- on the contrary (それどころか)
- nevertheless 、 nonetheless(にもかかわらず)
- regardless of(~を問わず)
- yet 、 still (でも)
まずは but と however を使いこなそう
英語のいわゆる「逆接の接続詞」といえば but が基本中の基本、次いで however も外せない重要語彙です。
but はカジュアル寄りの汎用的表現(等位接続詞)
but は英語において逆接を示す代表的な語です。接続詞どころか全ての英単語の中でも最重要語彙のひとつといえます。
but はニュアンス的にカジュアルな響きを伴いがちです。これは英語の超基本単語の宿命です。フォーマルな場面では他の表現を選びましょう。
but の意味・用法は意外と幅広く、日本語感覚とは異なる使われ方をする場合も多々あります。とはいえ、日本語の「だが」「しかし」などの語に対応する語(用法)に限って考えるなら、ほとんど日本語の「だが」「しかし」と同じ感覚で扱えます。
(英語の but の用法は「等位接続詞」と「従位接続詞」に大別されます。従位接続詞はちょっと厄介ですが、それはまた別の話ということで。)
but は基本的に文の半ばで用いる(文頭に置かない)
but は1文の中で話の脈絡が覆る場合に用いられる語です。基本的に文の中程に置かれ、典型的にはカンマで区切った直後に用いられます。
やらなきゃって分かってるけど、やりたくない
but は《句》《語》《節》を対比して用いることはできますが、《文》を対比して用いることはできません。つまり文の手前・先頭に配置できません。
日本語感覚で捉えると、文と文の脈絡を示して But, ~ で始まる文などを考えてしまいがちですが、これは英語表現としては(特に書き言葉としては)不適切な言い方と見なされます。
however はフォーマル寄りの汎用的表現(接続副詞)
however も逆接の接続詞として用いられる代表的な単語です。品詞は副詞(接続副詞)に分類されます。
however は but よりも少し形式張った響きがあり、フォーマルな場面にも適した表現です。カジュアルな場面では but 、フォーマルな場面では however、という使い分けができます。
however の逆接の意味合いの程度(「しかし度合い」「逆張り度合い」とでも言うべきニュアンス)は but に比べると弱めです。
however は文頭・文中・文尾でも使える(たいていカンマを伴う)
however は but とは違って文頭に置いて使えます。もともと副詞なので、カンマを伴い(文修飾の副詞として)文全体を修飾するわけです。
刑事はついに証拠を見つけた、しかし、なぜか逮捕することはできなかった
however は文の半ばに挿入して用いることもできます。この場合、however の前後にカンマを打って(カンマで however を囲む形で)補足的な挿入部分であることを示します。
彼は何時間も考え続けた、その答えは、実は、とても単純なものだった
however は文尾(文末)に置くこともできます。文末に置く場合もカンマを打ってから補足的に付与する形をとります。
カンマを省くと文意がアヤフヤになりやすい
however には、接続副詞の用法の他に、譲歩を示す副詞節を導く用法があります。文脈によっては、カンマを打たずに述べると、接続副詞か副詞節を導く副詞か不分明になります。
というわけで、書き言葉の場合は意識的にカンマを打つようにしましょう。
前提部分で用いて「逆接」を示す表現
although と though (~であるとはいえ)
although と though はどちらも接続詞で、「~ではあるが」「~とはいえ」といった意味合いで用いられる逆接の表現です。
どちらも日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使えます。
although も though も意味合いはほぼ同じですが、基本的には although の方が形式張った表現であり、though は(although に比べれば)くだけた表現です。
although と though は「完全文」を従える
although や though は「直後に続く文が必ず完全な文になる」という基本原則があります。but や however のように「カンマを打って適当に挿入する」という風には扱えません。
この映画は子供っぽく見えるけれど、実は深い意味が隠されているんだ
though については「文末に添え置く」使い方もある
though に限っては文末(文尾)に付け加えるような形で「~ではあるんだけどね」的なニュアンスを加える表現方法としても使えます。
歌うことが大好き、別に上手いわけじゃないけど
though のこの用法は口語的な表現です。話し言葉の中ではよく使われますが、書き言葉では基本的に使われません。
in spite of と despite (~にもかかわらず)
in spite of と despite は、「前述の内容を否定したり反論したりする」場面で用いられます。日本語では「~にもかかわらず」と訳されやすい言い方です。
in spite of や despite の直後に「否定や反論の内容」が続きます。
ちなみに、in spite of は「前置詞句」、despite は「前置詞」として扱われるのが普通です。
名詞を導くのが原則
in spite of も despite も前置詞(句)であり、どちらも直後に名詞が置かれます。
数々の努力もむなしく、私たちのチームはコンペで負けてしまった
名詞1語では状況が説明しきれないという場合も多々ありますが、その辺は言い回しの工夫しだいで何とでもなります。たとえば that節を使うような方法もあります。
- Despite the bad weather, … ( 悪天候にも関わらず、…)
- Despite that the weather was bad, …( 天候が悪いにも関わらず、…)
- Despite the fact that the weather was bad, …( 天候が悪い状況にも関わらず、…)
even (~でさえも)
even は、それ自体は基本的には「~さえも」「たとえ~でも」という意味で使われる単語です。
even は副詞もしくは形容詞なのですが、文脈によっては接続詞(逆接の接続詞)ような使われ方をします。とりわけ、even so とか even though とか even if などのようなイディオムは、接続詞的な使われ方をします。
even so は文頭で用いられ、前の文の内容を否定しそれに反する内容が続く形で用いられます。even though ~ または even if ~ では直後(「~」の部分)に「否定される内容」が置かれます。
元気出しなよ!全力を尽くしたじゃん!
.
😢 Even so, I lost anyway.
そうだけど、でも負けは負けだよ
文頭に置いて使える逆接の表現
最も汎用的な表現であるはずの but は、英語的には文頭に置けない表現です。でも、それを補って余りあるほどに、文頭において用いられる言い回しは充実しています。
in contrast (これに対し)
in contrast は、前の文を受けて次の文を「これに対して」「これとは対照的に」「逆に」「~とは裏腹に」などと切り出す際に用いられるフレーズです。会話上でも文章上でも多用されます。
contrast は「対比」「正反対」といった意味を持つので、前に言ったことと対にして比較するとき、かつ内容が反する場合に使える表現です。
これとは対照的に、大統領の私生活は家庭的で穏やかなものだった
「In contrast to+名詞」の形を使えば何と比較対照しているのかを文中で示せます。
公人としての生活とは裏腹に、大統領の私生活は家庭的で穏やかだった
on the other hand (一方で)
on the other hand は2つの異なる状況や意見を紹介する際、2つ目について述べる文の頭で使える慣用表現です。訳としては「一方」「これに反して」などが当てはまります。
1つ目の文を on one hand, ~ で始め、2つ目の文を on the other hand で始めるような場合もあります。
on the contrary (それどころか)
on the contrary は前の文で述べられたことと全く反対の内容を述べる際に文頭で用いるフレーズです。「それどころか」「むしろ逆に」などと訳されます。
予想や予備知識を裏切るような、見解の逆をいくような状況を強調できる表現であると言えます。
nevertheless と nonetheless(にもかかわらず)
nevertheless 、nonetheless は「それにもかかわらず」「それでもなお」「それにしても」といった意味を持つ逆接表現です。一般的には文頭に用いられますが、文中や文末に置くこともできる単語です。
少し古典的な雰囲気を持つ語なので若者の日常会話ではあまり聞かれないかもしれません。
ふたつの語の違いはほとんどありませんが、nevertheless の方がどちらかというと使用頻度が高いと言えます。
regardless of(~を問わず)
regardless (of) ~ は「~にもかかわらず」「~を問わず」 と約されることの多い語です。
regardless は「考慮しない」「無頓着である」という意味の形容詞です。つまり「不問」「度外視する」という意味があるわけです。
年齢性別不問
老若男女を問わず
yet と still (でも)
yet や still は基本的に「まだ」という意味で用いられますが、文脈によっては「それでも」「それにもかかわらず」という逆接の意味合いを示します。
本来の意味である「まだ」という言葉の裏には「(もう終わってもいい頃なのに予想に反して)まだ」という背景が込められています。その「予想に反して」という心理が、逆接の用法につながるのだと考えられています。
文頭に使われることが多いと言えますが、 but のように文中に挟んで使うこともできます。
彼女は最高にキレイってわけじゃないけど、惹かれてるんだ
たくさん練習した。それでも、オーディションではものすごく緊張したよ