英語で危ない・危険だと表現する言い方は形容詞だけでも複数あり、危なさの種類や危険度、状況の緊迫度などに応じて使い分けられます。
それはどんな害をもたらすのか、まともに食らったらどの程度の害が生じるのか、そんな観点から言葉を使い分けるとニュアンスに合った英語表現が見つかります。
危険・危機的状況に関する英語表現
「危ない」と表現する典型的な場面は、何と言っても身の危険を示す場面でしょう。生命や健康、あるいは、財産や名誉が損なわれかねない状況。
dangerous は「危険な状況」を意味する基礎的な表現
dangerous は日本語の「危険」に対応する最も一般的で幅広く用いられる表現といえます。
dangerous は危ない状況を引き起こす(可能性のある)物事全般について使えます。明確な害を被る危険だけでなく、失敗や問題が発生するという意味合いの危険も表現できます。
たとえば、氾濫しそうな河川。今にも落ちそうな吊り橋。有毒生物の生息する磯。滑落しそうな崖。何かに燃え移りそうな炎。不衛生な飲用水。厳戒態勢が敷かれた紛争地域。狂犬。バールのようなものを振り回している悪漢。破綻寸前の財政。ガサツな計画。
dangerous は「危険が生じかねない」「危険を引き起こすかもしれない」という意味合いの危険を示します。すでに危険な状態にある、という場合は in danger of ~(~の危険にさらされている)と表現しましょう。
その川を渡るのは危険です
アルコールは大量に摂取すると危険物質と化す
彼は危険な戦場に乗り込んでいった
unsafe は「安全でない」状況を表現する汎用的表現
unsafe は、形容詞 safe(安全だ)に否定の接頭辞 -un を付けて「安全ではない」と表現する言い方です。
安全でないということは、すなわち危険ということ。とはいえ直接に「危険」と述べる表現よりは婉曲的・間接的な言い方となる分だけ少し柔らかい響きになります。
unsafe の語は単に安全ではないと述べるだけであり、安全を脅かすもの(危険)の種類や程度については特に触れていません。そのため、幅広い場面で使えます。
ある地域では水を飲むのは危険なことです
家の中に大金を置いておくのは危険ですよ
risky は「損害・損失が生じかねない」状況
risky は計画している行動を実行した場合に伴う損害や損失(の可能性)を表現する形容詞です。「冒険的」とも訳されます。
失敗を怖れずに敢えて行うのならば止めはしないが、痛手を被ることもあると覚悟しておかなければならない、というニュアンスがあります。
投機などにおける冒険(金銭的な損失の可能性がある投資)の意味で用いられる場合もあれば、身の危険が降りかかるかも知れない(命がけの)作業を指す場合もあります。
私は危険な投資にあえて乗り出した
クリスは理科の授業で(落第が)危ぶまれる
マフィアの調査は危ない仕事だ
hazardous は主に「物質が危険の源となる」状況
hazardous は、主に有害物質・有毒物質といった「人を害する(可能性がある)」物事を形容する表現です。
hazardous なモノは人に害を為す、その意味で「危険な物質」です。いざ生じたら避けがたい危難というニュアンスもあります。物質に限らず、hazardous operation(危険な手術)のように行為を形容する場合もあります。
私どもは有害物質を使用しないよう努力しております
紙巻き煙草は健康に良くありませんよ
harmful は「怪我や病気のおそれがある」状況
harmful は harm(危害)+ -ful(~に満ちた)で、危害に満ちているさまを示す形容詞です。
危険の発生源に焦点を当てるニュアンスは希薄で、むしろ危険が生じた際に害を被ることになる人や物の側に焦点が当てられた表現といえます。
タバコは健康に悪い
この食べ物は人間にとって有害です
今年の収穫物は害虫によって台無しになった
perilous は「差し迫った大きな危険」を指す硬めの表現
perilous は、危険に満ちているさま(Full of danger or risk.)を意味する形容詞です。元となる名詞 peril には「生死にかかわるような大きな危険」かつ「容易には回避できない差し迫った危機」というニュアンスがあり、かなり逼迫した危機的状況を示します。
perilous な状況に置かれているさまは in peril of ~ と表現できます。これはもう死を覚悟しなければならないような状況です。
状況は極めて危険であり、警備員たちは激しい火炎により全滅の危機に晒されていた
我々は農業と漁業の深刻な状況に身の凍る思いがした
彼は海を渡る危険な長旅をした
jeopardizing は「危険に瀕している」状況を指す硬めの表現
jeopardizing は、今まさに危機的状況に身を置いているさま、その意味で絶体絶命の危機に直面している状況を表現する語です。
jeopardizing は名詞 jeopardy(危険)を動詞化した jeopardize(危険に晒す)をさらに現在分詞の形容詞用法として用いる言い方です。-ing 形が「いま正に危険に晒されている」というニュアンスを際立たせます。
彼は私の為に命の危険を冒した
お互いの敵意が両国の平和を危険に晒していた
lethal は「死の危険を招く」「致命的な」状況
lethal は人を死に至らしめる危険、病気や怪我どころでなく死に追いやるような甚大な危険を指す表現です。
たとえば核爆弾がもたらす「死の灰」は lethal ash と呼ばれます。核兵器は lethal weapons。いわゆるリーサルウェポン。
もしも lethal なモノをまともに身に受けたら、命はありません。
このキノコは致死量の毒が含まれているので絶対に食べてはいけません
爆発の後、彼女に死の灰が降りかかった
状況に応じて柔軟に「危険」を表現する言い方
危機が迫っている人に注意を促す呼びかけや、危険を顧みずに冒険するという言い方、間一髪で「危なかった」と表現する場面などでは、直接的に「危険」に言及する言い方の他にも適切な表現が見つかります。
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危険を冒す
危険があるかもしれないと承知の上で敢えて冒険的なことをする、という状況は、take a risk 、あるいは、take chances のような言い方うまく表現できます。
take a risk は「リスクを取る」「リスクを負う」という意味合い。take chances は「好機を狙って勝負に出る」というニュアンスの多分にある表現です。無謀なことをするという意味合いも含みます。
危ないところだった
もう少しで危険をまともに食らっていた、危なかった、という状況は、That was dangerous. のように言ってもよいのですが、たとえば narrow escape (危機一髪の命拾い)のような言い回しが使えるとこなれた印象が出ます。
narrow escape は主に「生死にかかわる危機を辛くも脱した」という意味合いで用いられます。
九死に一生を得た
間一髪・ギリギリの状況だったという意味では close と述べてもよいでしょう。
危なかった
危機一髪だったわ
死の危機に瀕している
ケガや病気で危篤状態という意味の「危険」は、in danger of dying のようにも表現できますが、一言で serious とも表現できます。形容詞 seriously で名詞を修飾する言い方が使いやすいでしょう。
彼は重篤な病に罹り、そして亡くなった
危ぶまれる・気がかり
行く先に懸念を感じているさま、危惧している状況は、不安・懸念・気がかりという意味で uneasy と表現できます。
自分の将来に不安を感じている
自分の将来が危ぶまれる
当てにならない、信用ならない、疑わしい、という意味合いなら unreliable あるいは doubtful のような言い方がしっくり来ます。
供述の真偽が危ぶまれる