「高い」(高価・高額)と英語で伝える表現の種類と使い分け方

値段が高いと英語で表現する場合、複数の言い方があり、高価さ・高額さの度合いや正当・不当といったニュアンスを込めて使い分けられます。

品質がよくて値段も相応に高いのか。あるいは、安っぽい雰囲気に反して不当に高いのか。極めれば語意ひとつで金銭感覚まで表現できるようになります。

英語の「安い」は一言でニュアンスが伝わり過ぎる

端的に「高い」と表現する形容詞

high (price) は端的に「(価格が)高い」と述べる表現

high は「高い」と訳される最も基礎的な語で、もっぱら「位置的な高さ」を形容する際に用いられますが、price cost といった語を形容することで「価格の高さ」の意味合いを示します。

「お値段以上」とか「ぼったくり価格」とか相対的・絶対的といった言外のニュアンスを特に含まないので、最も無難に使える表現といえます。

The cost of living in Tokyo is high.
東京の生活費は高い

high そのものは単に「高い」とのみ述べる表現であり、費用・価格の意味合いは含まれません。そのため、high price や high cost のように表現する必要があります。

ただし high 以外の「高価」表現の多くは、それ自体に価格の意味合いを含みます。いたずらに high を添えて形容すると、いわゆる「費用が高だ」のような重言の様相を呈するので、注意しましょう。

expensive はシンプルに使える基本表現

expensive は価格の高さを表現する最も一般的な表現の一つです。high が例外的な扱いという点を踏まえると、expensive が代表的な語と言うべきかも知れません。

expensive は基本的に「予算に対して価格が高い」、あるいは「品質のわりに値段が高い」といった評価の基準が念頭に置かれています。

往々にして、やや否定的なニュアンスを含みます。「値段が高い」という評価そのものがほとんど否定的な評価ですから致し方ありませんが。

A large house is expensive to maintain.
大きい家は維持費がかさむ

pricey はカジュアルに使える口語表現

pricey は 意味合いは expensive に通じますが、より口語的でカジュアルな表現です。気さくに「高いなあ」と述べる場面で便利です。

「a little」や「a bit」といった表現と共に使うと、「ちょっと高い」というニュアンスが加わります。

This shoes are a bit pricey but so cute.
ちょっと高いけどこの靴は素敵よね

valuable は価格というより価値の高さ

valuable も金銭的価値の高さを形容する語として用いられます。物品以外の物事を形容する場合は「有益である」という意味合いの価値の高さを表現します。つまり、「値打ちがある品」というニュアンスが根底にあります。

These old books are extremely valuable.
これら古書はきわめて価値が高い
This is valuable business for my company.
これは我が社にとって大切な取引だ

costly は品質相応に高くつくニュアンス

costly はいわゆる「コストがかかる」さまを表現する語です。英語の costly には、費用対効果がある、品質が良いため価格も高いというニュアンスがあります。

cost には費用・対価という意味もありますが犠牲という意味もあります。「犠牲を払う価値がある」と解釈すると、ニュアンスも理解しやすいのではないでしょうか。

This project is very costly.
このプロジェクトは費用がかかる

luxurious は贅沢な豪華さを示す高さ

luxurious は「贅沢だ」という意味の、形容詞です。luxury の形容詞形です。

luxury は(luxury hotel のような形容詞用法もありますが)基本的に名詞である点に注意しましょう。

They bought a very luxurious house.
彼らはとても贅沢な家を買った
This hotel has an air of luxury.
このホテルは豪奢な雰囲気だ

top-of-the-range は「最高級」の高さ

top-of-the-range は range(範囲)の中でtop(首位)を形容詞的に用いる表現です。同種の物品の中で最も高級といえるものを指し示す際に用いられます。

人物を形容する場合、同業者の中で並ぶ者のいないトップの存在を指します。

This is a top-of-the-range hotel in Japan.
これは日本で最高級のホテルです

upscale は富裕層向け・金持ちの世界

upscale は富裕層に向けて作られた高品質の品物に対して用いられる形容詞です。どことなく「富裕層にこそ似つかわしい」というニュアンスが漂う言い方です。

upscale は主にアメリカ英語の表現、イギリス英語では upmarket が同義で使われます。

This brand is upscale.
このブランドはお金持ち向きだ

exclusive はセレブ限定の世界を匂わす高さ

exclusive は基本的には「排他的」「閉鎖的」という意味で、転じて「高級な」「高級品を扱う」という意味合いでも用いられます。

もっぱら富裕層や上流階級に位置づけられる人々をターゲットとする高級品。どことなく「貧乏人お断り」のニュアンスがありそうな表現です。

That is an exclusive private club.
あそこは高級プライベートクラブだ

big-ticket はそうそう買えない高額商品

big-ticket はアメリカ英語の口語表現で、商品カテゴリー全般が高価格であるため気軽には買えないような品物を表現する言い方です。

特定の商品がバカ高くて同種の他の商品は安い、というわけではない代物。などは典型例といえるでしょう。

I purchased a big ticket item like cars or furs.
車とか毛皮くらいの大きな買い物をした

「買う」に当たる動詞は buy でも表現できますが、purchase とも表現できます。意味や用法はほぼ同じですが、purchase の方が少しかしこまった言い方です。buy が「買う」なら purchase は「購入」くらいのニュアンスと考えておくとよいでしょう。

priceless は値札なんかつかない価値の高さ

priceless は「値段がつけられない」という貴重さ、大切さを表現する言い方です。いわゆる「お金で買えない価値がある」ものと把握してしまってよいでしょう。

値段がつけられない骨董品なども形容しますが、多くの場合は家族や友情の絆、思い出、信念といった「掛け替えのないもの」を表現する場面で用いられます。

Our friendship is priceless.
僕らの絆は何にも代えがたい

overpriced は品質不相応に高くね?のニュアンス

overpriced 品質が値段に見合っていないさまを表現する際に用いられる語です。値段ほどの価値はないだろう、価格が上回り過ぎていやしないか、という意味合いが含まれます。

I like this skirt, but it’s so overpriced.
このスカートすごく好きだけど、高すぎるわ

unaffordable は高くて「手が届かない」さま

unaffordable は un-+afford+-able という構成の語で、afford(入手する)+able(可能である)-un (できない)、すなわち、購入する余裕はないような高価さを表現する言い方です。

unaffordable の語そのものに「自分には買えない」という視点が含まれます。主語にあたる人物の経済事情によって価格の水準は違ってきます。

For many people, this cost of treatment is unaffordable.
多くの人にとって、この治療費は到底負担できない

unreasonable は「不当な」高さ

unreasonable は(un- reason -able で)「道理をわきまえない」「不当な」という意味の表現です。さまざまな文脈で用いられますが、特に金銭価値について述べる文脈では「不当なほど高い」という意味を示します。

unreasonable と同様の意味の語に steep があります。steep は基本的には(斜面などが)高い、急勾配、といった意味ですが、「値段が非常に高い」という意味でも用いられます。

This shop charges an unreasonable price for goods.
この店は商品に不当な値段をつけている
We enjoyed our meal at the restaurant, but the bill was pretty steep.
私たちはレストランでの食事を楽しんだが、請求はあまりに高すぎた

exorbitant は「法外な」「途方もない」高さ

exorbitant は原語をたどると「軌道から外れた」というラテン語にたどりつきます。常軌を逸したような、べらぼうに過大な要求を表現する言い方で、価格については「不当な」「法外な」高額を形容します。もちろん批判・非難のニュアンスがあります。

The hotel charge in N.Y. was exorbitant.
ニューヨークでの宿泊費は途方もなかった

英語で「高価・高額」に関するイディオム

at (for) a price ―かなりの値段で、犠牲を払って

何かを買ったり手に入れたりするときに、多額のお金を支払わなければならない、もしくは何らかの犠牲を払わなければならないという状況で用いられるイディオムです。

This project comes at a price.
この計画はかなりの犠牲を伴った

at a premium ―プレミアムつきで、異常に高い値段で

プレミアムつきであることから、異常に高い値段であることも表します。

He bought the shoes at a premium.
彼はプレミアムつきの靴を買った

no expense is spared ―費用を惜しまない

「No expense is spared in 名詞」の形で、「~に費用を惜しまない」という意味を取ります。

No expense was spared in collecting antiques.
骨董品収集にお金を惜しまない

break the bank ―破産させる

「破産させる」「人を無一文にする」という群動詞です。通例否定文で、「そんなに高くない」という風に使われます。

It only costs $3. That’s not going to break the bank.
たった3ドルだ。 そんなに高くないだろう

capital intensive ―資本を多く必要とする

ビジネス用語で、経営を始めるにあたり初期投資に多額のお金を必要とすることを意味します。

Agriculture is capital intensive.
農業は資本を多く必要とします

rip-off ―ぼったくり

rip-offは「法外な金を取ること」「搾取」を意味する名詞です。俗に言う「ぼったくり」というやつです。名詞だと分かるように、ripとoffの間にハイフンをつけ忘れないようにしましょう。rip offは「法外な金額を取る」という句動詞です。

$300 for that skirt? That’s a complete rip-off.
そのスカートが300ドル? 完璧にぼったくりね
I got ripped off!
ぼったくられた!

pay through the nose ―ぼったくられる

直訳すると「鼻を通して払う」という意味ですが、「法外な金額を取られる」「ぼったくられる」という動詞表現です。由来に関しては諸説あるようなので、素直にそのまま覚えましょう。

We paid through the nose to get the computer repaired.
パソコンを修理するのに法外な金額を取られた

cost an arm and a leg ―値段がとても高くつく

「手や足を払わなければならないほど費用がかかる」=「値段がとても高くつく」と考えましょう。「cost a small fortune(ひと財産)」「cost a bomb(爆弾)」「cost the earth(地球)」「cost a packet(かなりの大金)」も「とてもお金がかかる」という意味です。いずれも、莫大なお金がかかるということを表すために極端な単語を用いています。

I want to buy a Porsche, but they cost a small fortune.
ポルシェを買いたいが、ひと財産ほどお金がかかる

highway robbery ―高すぎる

highway robbery(ひったくり)に遭ったかのように高額なお金を取られるというニュアンスのイディオムです。アメリカではhighway robbery、イギリスでは主にdaylight robberyが用いられます。

$10 for a cup of coffee? That’s highway robbery!
コーヒー1杯で10ドル? 高すぎる!

white elephant ―費用が掛かるが役に立たないもの

タイでは白象は神聖視されており、飼育するのに費用がかかったため、王が失脚させたい臣下に白象をわざと贈ったという故事から「費用が掛かるが役に立たないもの」「厄介者」「ありがた迷惑」のような意味を持ちます。

This gift is a white elephant.
この贈り物はありがた迷惑だ

「高価・高額」に関するフレーズ集

どのくらい費用がかかりますか?

どのくらい費用がかかるかを尋ねるときは動詞costを使います。costは現在形、過去形、過去分詞ともに不変でcostです。可算名詞としては費用、代価などの意味を、不可算名詞としては犠牲という意味を持ちます。

This book cost (me) $15.
この本は15ドルした
It costs (me) $10,000 to buy a new car.
新車を買うのに1万ドルかかる

いくらかかるのかを尋ねるときは、costを用いて「How much does it cost?」「How much will it cost?」と尋ねましょう。一般的な事実、あるいは金額が定まったものを尋ねるときは現在形を、単に未来の予測を尋ねるときは未来形を用います。「What does it cost?」という表現もあります。「How much does it cost?」が金額の数値に焦点を当てるのに対し、こちらは「何が必要か」に的を絞った表現です。

How much does it cost to raise a child?
子どもを育てるのは(一般的に)どのくらいかかりますか
How much will it cost to sell my house?
私の家を売却するといくらになりますか
How much does Netflix cost?
Netflixっていくらかかるの

どのくらいお金が必要ですか?

どのくらい「必要」かを強調したいときは、needを用いて表現しましょう。

How much do I need to pay for a passport?
パスポートの支払いにはいくら必要ですか
How much money will I need to retire?
隠居するにはどのくらいのお金が必要ですか

お高いんでしょう?

日本語で言う「でもお高いんでしょう?」を英語で表現してみましょう。日本語の「でしょう?」にあたる英語表現は付加疑問文です。相手に同意や確認を求めるときに用いられます。述語がisのときは「isn’t it?」を文末につけてみましょう。

But that is expensive, isn’t it?
でもそれって高いんでしょう

高いに違いない!

何か素晴らしい商品に対して「高いに違いない!」と言いたいときは「~に違いない」という意味を取る「must+be動詞」を使いましょう。

That must be so expensive!
それはとても高いに違いないわ

言いにくいですが高いです…

勧められた商品に対して、「高いです」と心苦しくも伝えなければならないときもあると思います。そういう場面では「残念ながら」「申し訳ないですが」を意味する「I’m afraid that」をつけて文章を柔らかくしてみましょう。

I’m afraid that it is rather expensive.
申し訳ないですが、ちょっと高いです。

思ったより高い

「思っていたより高い」と言いたいときは、比較級を用いて表現しましょう。「思っていたより」にあたる表現として「than I expected」「than I thought」があります。時制の一致で主節が過去時制の場合は「than I had expected」「than I had thought」になりますが、口語だと特に気にする必要はありません。

It is more expensive than I expected.
それは思っていたより高いわ
An admission fee was more expensive than I had thought.
思っていたより入場料が高かった

場面と状況に合わせた料金の聞き方をできるようになりましょう。
英語の料金の尋ね方

もちろん英会話とはあくまでコミュニケーションなので、相手に言いたいことが伝えられれば問題ありません。見慣れない形容詞や凝ったイディオムを使わなくても、「a lot of money(たくさんのお金)」のような簡易な表現と、costやcall for(~を要求する)などの動詞を組み合わせることで、それなりに相手に伝わる表現が作れるということも忘れないようにしましょう。

It costs a lot of money to complete this project.
このプロジェクトを完成させるには多額の金がかかる
We need more money.
私たちはもっとたくさんのお金を必要とする



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