文章表現における接続詞・接続表現は、文の前後の関係を示す要素です。特に英会話(話言葉)では「順接」を示す表現が多く用いられます。順接は後の文が妥当な脈絡で導かれることを示す表現です。会話の間をつないだり間を持たせたりする「つなぎ言葉」としても重宝します。
接続語にもいくつか表現の種類があります。軽いノリの表現もあればお堅い表現もあります。使用場面やニュアンスに応じた使い分けができるようになっておきましょう。
→英会話の話題を変える「ところで」的英語表現の種類と使い分け方
目次
主に口語で使われるカジュアルな表現
and
and は等位接続詞の代表的表現で、さまざまな意味で用いられる汎用的な語です。 you and I(あなたと私)のように語句を並置する表現としても多く使われますが、文章単位で接続する表現としても色々な意味で使えます。文章の前後関係・論理的な帰結を示す意味合いでも使えます。
原因と結果の関係を示す場合もあれば、単に時系列的な前後関係を示す場合もあります。並列・同時進行のニュアンスを伴う場合もあります。この辺の機微は文章の内容次第です。
文章の前後関係を and を使って示す場合、「原因と結果の結びつき」を主張するニュアンスはやや弱く響きます。逆にいえば、自然な成り行きで結果がもたらされたというニュアンスを伝えやすい表現でもあります。
彼が喋ったので部屋は静まり返った
私はとても疲れていたので眠れなかった
so
so は副詞としては「そのように」と程度や方法などを示す意味を持つ語です。接続表現としては「そういうことで」「なので」という「結果」の意味を示せます。前文を受けて続く文章が導かれるという帰結のニュアンスもあります。
so はシンプルな語であり、語感もニュアンスも日本語の「そう」に近いこともあって、とっさに口にしやすい便利な表現です。
雨が降っているから、足元に気をつけてね
彼は偏見があって、だから信頼できなかった
主に文章で使うフォーマルな表現
therefore
thereforeは文章で順接の「したがって」「そういうわけで」を表すときによく使われます。ビジネス文書や学術論文で、原因を示したあとの「結果」や「結論」を述べたいときには大変便利な表現です。口語でも使われますが、andやsoよりは少し堅い語です。
従って、これが私達にできる最良の選択でしょう
その絵画は色鮮やかで、それゆえ美しかった
hence
henceもthereforeと同じように「したがって」「それゆえに」という意味を持ちます。thereforeよりも更に堅い語なので、フォーマルな文章で使われることがほとんどです。thereforeをすでに使っていて、繰り返し表現を避けたいときの代わりの表現として便利です。
従って、私はここにとどまらざるを得ないだろう
それゆえ、金融規制を強化することには明らかな利点があるのだ
thus
thusは「このように」「そういうわけで」という意味を持っており、前に言ったことを受けて次の発言が導かれることを示します。こちらもthereforeよりは少し堅い語ですが、一通り何かを説明したあとで「このように」と総論に移りたいときにはthusがしっくりきます。
私たちは十分な証拠を見つけられなかった。こうして私たちは彼が潔白だと結論付けたのだ
そういうわけで彼女は金持ちと結婚した
話題を変えるときの「そこで」
「そこで」は前後の文章の順接を示すとき以外に、「そこで本題に戻ると」のように話題を変えるときも使われます。話題を転換するときは上記した and や so ではなく、異なる表現を用いる必要があります。
anyway
話題を変えるときには、わき道から本題に戻るときと、本題からわき道にそれるときがあります。 anyway はわき道にそれた会話を本題に戻すときに用いられる傾向にあります。
「そこで」は話題を変える際でも前後の文脈に少しつながりがある感じがありますが、 anyway は何の脈絡もなく本題に戻るときでも使えるため、「とにかく」などと訳すこともあります。
anyway もカジュアルな表現ですが、さらにカジュアルな表現に anyways もあります。語尾に s をつけるだけなので覚えやすいです。うまく使い分けましょう。
、、、、、残念ながらモスクワ旅行は断念したんだ。そこで、俺が言いたかったことなんだけど、お願いを聞いてほしいんだ
アイスクリームも大好き!ちょっと待って、何でこんな話してるんだっけ?まあいいわ。とにかく夏にイタリア行くの!
by the way
本題からわき道にそれる話題を話すときに使われるのが、 by the way です。「そこで質問ですが、」など聞き手に軽い質問をするときなどに重宝します。
この用法で「そこで」を使うときには「そこで質問ですが」「そこでちょっとした小話ですが」など補足を伴いますが、 by the way はこれら補足も兼ねているので、明言する必要はありません。
だからこの仮説を証明するために調査を行うつもりです。そこで質問なのですが、この研究テーマは面白いと思いますか?
このプロジェクトが成功すると確信しております。そこでちょっとした小話ですが、私がこのアイデアを思いついたとき、友人とサッカーしていました。アイデアってこんな感じで浮かぶんだなと思いますね
anyway と by the way の使い分け
by the way がわき道にそれるため、 anyway が本題に戻るために用いられるのという特性から、これら二つの表現の組み合わせて使うことも可能です。
作業はスケジュールどおり進んでいるよ。そういえばニールに作業についてどう思うか聞いたかい?上司がそうしろって何回もうるさいんだよ。もー嫌になっちゃうな。まあとにかく、彼には作業は順調だと伝えておいてくれ
「順接」は英文法の用語ではない点に注意
接続表現を「順接」「逆接」のように区分する考え方は、主に日本語文法における考え方です。英文法の標準的な区分というよりも、むしろ日本語の考え方を便宜的に英語に当てはめた捉え方と考えておきましょう。
英語の接続詞は、「等位接続詞」や「従属接続詞」のように、文章の上下関係・主従関係によって区分する方法が標準的です。順接の概念もあります(resultative)が、これは接続詞だけでなく動詞や節にも適用される考え方です。
性質を知った上で存分に活用しましょう
英語を学ぶ際には、英語と日本語は異なる言語であること、そして、今は日本語の枠組みを手がかりにして英語を学んでいること、を少しだけ念頭に置いておきましょう。
母語である日本語を手がかりにして英語を学ぶ、という取り組み方は、決して悪いことではありません。むしろ、大人になってから改めて外国語学ぶ場合には、母語と比較対照しながら学ぶ方法は効果・効率の点から言っても欠かせません。
ただし、両言語の文法的な切り分け方の違いを意識しないまま学習を進めていくと、いつかは理解がこんがらがって学習が進まなくなる状況に陥ります。「等位接続詞と順接の接続詞はどう関係するわけ?」と考えても、うまい落とし所は見つかりません。それはもともと別世界の概念なのですから。
言葉の違いを理解して、「英語は英語」とわきまえて学べるようになれば、英語を英語で考える英語思考の獲得はもう目前です。
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