英語の「コアイメージ」の考え方をつかむコツ【CIFLE動画講義】

英語の動詞や前置詞は、単に和訳して覚えるだけでは十分とはいえません。英単語の根本の部分にある抽象的なイメージ(コアイメージ)を理解しましょう。

英語のコアイメージ理論を携えて日本の英語教育に一石を投じる英語学習ウェブサイト「PEN英語教師塾」(pen-edu.jp)にご協力いただき、動画レッスン「基本語力とコア理論」をご覧に入れます。概要をざっくりテキスト化したので、併せてどうぞ。

基本語力とコア理論
※動画の閲覧には、PEN英語塾へのログイン(有料)が必要になります。

レッスン動画に登場する講師は田中茂範先生です。

慶應義塾大学環境情報学部教授。応用言語学者、教育学博士。英語関連の書籍あるいはテレビ番組の監修も多数。

2003年にベネッセコーポレーションから刊行された「Eゲイト英和辞典」の監修者でもあります。まさに、コア理論の第一人者。

以下は動画の概要です。構成を多少改編しています。内容もだいぶ端折っています。

「基本語力」とは何か

英語をコアイメージで理解するコア理論は、英語のいわゆる「基本語力」を身につけるための方法として有効です。

言葉を「使い分け」て「使い切る」力

「基本語力」は、言葉を「使い分け」て「使い切る」力といえます。

「言葉を使い分ける」力は、たとえば、push と press 、talk と speak とった言葉の違いを理解して適切に選べる力です。

「言葉を使い切る」力は、言葉が使える場面と使えない場面の境界を見極め、自然に使う、そして「使えるのに使わない」という無駄を省く、そういった能力といえるでしょう。

「言葉を使い切る」力が育っていないと、「自分の語彙力で表現できることに気づかない」=「知識(言葉)を使い残す」という状況に陥ります。この状況に当てはまる日本人は多いはずです。

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日本的な英語学習は基本語力が足りない

日本人の英語学習には、習得を阻む困難が複数あります。

  • 英語のインプットが乏しい
  • 英語を使う機会が限られる
  • 日本語を通じて理解しようとしてしまう
  • 「put=置く」のような最初のインプットが言葉の自由度を消してしまう

put は目薬を「差す」と述べる場面でも使われます。しかし英語と日本語を1対1で対応させて「put = 置く」と覚えさせる学習法では、「目薬を差す」と言いたい場合に put の語が出てきません。

ネイティブスピーカーの基本語力

英語ネイティブスピーカーは言葉に対する直感的理解(語彙直感)を持っています。

語彙直感は、言葉を実際に使って行く中で形成されるものと考えられています。ネイティブスピーカーは日常生活の中で自然に習得するわけです。

一般化、差異化、類型化

語彙直感が形成される過程は、「一般化」「差異化」「類型化」に区分できます。

  • 一般化:各文脈で単語を使いこなす
  • 差異化:類似する語の使い所を理解して区別する
  • 類型化:言葉を感覚レベルで把握し、文脈に合うか否かを判断できる

類型化は「語彙直感」の獲得、コアイメージの獲得に直結します。

非ネイティブスピーカーは、日常会話で語彙直感を養うことは困難ですが、コア理論を通じて記述的・図式的にイメージを把握することで、ネイティブスピーカーに近い感覚の獲得に近づけると期待できます。


「コア理論」はなぜ重要か

言葉を「コア」で捉える考え方(コア理論・コア概念説)は、英語の基本語彙、とりわけ動詞および前置詞を理解する手がかりとして適応可能です。

それは

多義的な基本語彙(多義語)をしっかり理解する

英語の中の「基本語」と呼ばれる種類の語彙(たとえば take や leave など)は、かなり幅広い意味で用いられます。

基本語は日常でもさまざまな文脈で用いられます。きわめて重要な言葉なのですが、意味があまりにも幅広く、理解は一筋縄ではいきません。

take と leave の例

基本語の多義性が顕著に現れている例として、とある国立公園の看板を見てみましょう。

take-and-leave

Take nothing but pictures.  とっていいのは写真だけ(植物等を持ち帰るな)
Leave nothing but footprints. 残していいのは足跡だけ(ゴミを捨てて帰るな)

take は「取っていく」「写真を撮る」という意味、 leave も「置いていく」「残す」という意味で、言葉の多義性をうまく利用して表現されています。

基本語を、こうした多義性を踏まえて十分に理解し、自分でも使いこなせるようになるには、表面的な意味を理解する従来の学習法では困難でしょう。

多義語は「単純で曖昧な言葉」

多義語は文脈によって大きく意味を変えます。それは、多義語が「単純で曖昧な語」であるためです。(「複数の概念を含む語」ではありません)。

意味が単純かつ曖昧であるため、文脈によってさまざまな文脈に適用され、表面的な意味が変わります。この曖昧さの度合いが低ければ低いほど、適用できる文脈は限られていきます。

たとえば take 、steal、plagiarize の3語を比べてみましょう。どれも「盗む」という意味で用いられますが、take 、steal、plagiarize  の順に意味が確定的になっていき、適応できる文脈も限られていきます。

  • take は「取る」「持って行く」という程度の意味
  • steal は、take に「不当」(illegally )の意味を加えた語
  • plagiarize(剽窃)は、steal に「表現やアイデアを」という意味を加えた語

コアイメージの構成

コアイメージは「記述」と「図式」で表現される

コアイメージは、文章記述と図の両方を使って表現されます。どちらか一方だけでは十分ではありません。

記述と図式はそれぞれ互いを説明します。相互に補完する役割を担います。

コア記述:何かを移動させてあるところに位置させる

コア図式:image-pf-put

コアイメージは言語では捉えきれません。日本語でも、英語でも完璧には記述できません。あえて言葉にするとしたら、put は「 put 」という形のみ適切でしょう。「位置させる」という記述も、あくまでも近似値的な説明です。

図は抽象的なイメージをうまく表現しますが、図だけでは set や place といった語との区別がつかなくなります。set や place は「位置させた結果」や「位置する位置」のニュアンスを中心に含みますが、put は「ある位置に移動させる」という「移動」のニュアンスを中心とします。文章記述によってこの点を補足するわけです。

理論を与えたら実践練習が必要

日本人がネイティブ並みの英語力を身につけるためには、妥当なコア概念を提示すること、そして、コア概念を様々な状況で自在に使えるようにするための実践練習が必要です。

どれほど多くの単語を頭に詰め込んでも、コアイメージを把握できても、それだけでは言葉として使いこなせるようにはなりません。

実践を積み重ねて、「知っている」だけでなく「使える」ようになりましょう。





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