英語の助動詞「shall」の意味・用法・用例おさらい

英語の助動詞 shall は、《意志》、《命令》、あるいは《予言》のような意味で用いられます。あらためて用法と用例をおさらいしましょう。

shall は比較的、古風な語です。英文学の古典ではよく遭遇します。現在の英語表現としては(特にアメリカ英語では)使用頻度はそう多くありませんが、shall の意味をちゃんと理解しておくと頻出語彙である助動詞 should の理解に役立ちます。

「話者の意志」の用法

英語の助動詞 shall の最も基礎的な語義は《意志》である、といえます。やや格式張った表現です。

イギリス英語は比較的古風な表現を残しており、shall を用いた表現に接する機会もままありますが、アメリカ英語では「意志」はもっぱら will で表現されます。

一人称の意志(きっと〜しよう)

主語が一人称の場合、shall は「私はきっとそうする」という意志あるいは決意を表明するニュアンスで用いられます。

文語的な硬さ・格調の高さを感じさせる表現です。

I shall never forget your love.
私はあなたの愛を永遠に忘れない
I shall remember you every time I visit this place.
ここを訪れるたびにきっとあなたのことを思い出します

shall not の短縮形は shan’t

否定語を伴う場合は shall not を短縮して shan’t と表現する場合があります。イギリス英語でときどき使われます。

I shan’t join in the party if you don’t.
あなたが出ないなら私もパーティーに出ない

二人称・三人称の文(〜させてやろう)

shall を意志の意味合いで用いる際、主語が話者自身(一人称)ではなく、相手(二人称)や第三者(三人称)である場合、話者自身の相手に対する意向を示します。

話者の相手に対する意志・意向は、おおよそ「立場が上の人が目下の者に決定事項を言い渡す」というようなニュアンスを基調とします。日本語でいえば「〜させてやろう」というくらいの感覚です。使用場面はかなり限られます。

二人称主語の場合

主語が相手(you)の場合、動詞が表現する動作を(話者が)相手に負わせるニュアンスがあります。

You shall have this pendant.
このペンダントをくれてやろう

三人称主語の場合

主語が he などの三人称の場合は、二人称の例よりもさらに「話者の意志」のニュアンスが色濃く読み取られます。

話者は文中で明示されないものの、shall の語に「私がそうさせる」という話者の意志が含まれます。結果、半ば使役の意味合いが生じます。

He shall call you later.
あとで彼からあなたに電話させます


相手の意志(を尋ねる)用法

助動詞 shall が用いられる最も多い用法は疑問文で相手の意向を問う形でしょう。Shall we ~ ? のような言い方です。

疑問文で用いられる shall も、アメリカ英語では will で代替されることがよくあります。どちらかといえばイギリス英語の方で用いられることの多い表現です。

Shall I go with you?
一緒に行きましょうか
? What shall we do for this Saturday ?
土曜日は何をしようか
? Shall we go for a picnic?
ピクニックに行こうよ
Let’s go out for lunch, shall we?
ランチに行きましょうよ、ね

命令の用法

shall は相手に命じる・義務を課す意味合いで用いられることもあります。これも硬いニュアンスがあり、日本語でいえば「すべし」「すべからず」あるいは「~するものとする」くらいの語感があります。

命令・義務の用法は、聖書の記述でも多く見られます。

You shall not kill.
汝殺すなかれ【聖書】
You shall love your neighbor as yourself.
汝、汝の隣人を汝のごとく愛せ【聖書】

shall の語義が全体的に醸している、厳めしさ、格式、古風さ、総じて文語的といったイメージは、だいたい聖書のイメージに基づくといっても過言ではないでしょう。

予言・約束・決まりごと、の用法

聖書の中では shall は予言、約束、規定(決まりごと)を通達する文言としても多く用いられています。

Whoever believes in him shall not perish but have eternal life.
彼を信ずるものは誰でも滅びず、永遠の命を得る 【聖書】
All they that take the sword shall perish with the sword.
剣を手にとる者はすべて剣によって滅びる【聖書】

約束や規定を示す意味で shall を用いる用法は、契約書のような改まった文書で目にする場合があります。日本語でいえば「〜すること」「~するものとする」のような語感があります。

All students shall submit the paper.
学生は皆レポートを提出すること

反語の用法

shall を疑問文で用いる場合、反語表現として機能することがあります。

Who shall live forever?
誰が永遠に生きるというのだろうか(いいや、そんなわけがない)

反語の用法もかなり文語的な表現です。




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