英語の助動詞「would」の基礎イメージと覚え方・使い方

英語の助動詞 would は丁寧表現などで多く用いられる重要な単語です。そして、何故そういう意味で用いられるのか理解に苦しむ語でもあります。

辞書や教科書は、体系的に整理された意味や使い方を教えてくれます。しかしながら辞書で訳語を知るだけでは本質的な理解にはなかなかたどり着けません。

言葉の内奥には抽象的なイメージ(コアイメージ)があります。このイメージが実際の文脈に応じて具体的な意味をまといます。言葉を本質的に理解して、自由自在に使いこなせるようになるには、コアイメージを自分なりに習得しなくてはなりません。

英語の「助動詞」を本当に理解する学習のコツ(急がば回れ)

助動詞 would の中心イメージは「現実から1歩退いた意志」

抽象的な表現の核心的ニュアンスそのものを、言葉で言い表すことは、率直に言ってムリです。できません。

それを敢えて言葉にしようと試み、個々人がコアイメージに肉薄する手がかりにしてもらおう、というのが当記事の趣旨です。

それを踏まえて、あえて would のコアイメージを言葉で表現するなら、たとえば「現実からちょっと退いた意志」のように捉えてみてはいかがでしょうか。

根本は will の婉曲的な使い方

英語の助動詞 would は、本を正せば助動詞 will の過去形です。英気は時制を変えて婉曲的なニュアンスを醸す用法があります。この婉曲的ニュアンスの用法が半ば独立して would という別個の助動詞になった、と解釈してしまってよいでしょう。

will は《意志》を表現する語です。そして would は、意志を直接的にではなく婉曲的に示すという感覚を表現する語です。

would と同じく英語の助動詞である should、および could も同種の事情があります。should は shall の、could は can の過去形から半ば独立した語であり、それぞれ shall や can の根本ニュアンスに何かしらの婉曲さを加えたニュアンスがあります。


英語の助動詞 would の用法別の考え方と用例

丁寧・控えめ

助動詞 would の代表的な意味用法といえば、丁寧控えのニュアンスををす用法でしょう。ビジネスシーンでも多用されます。

would は will の時制をひとつ過去に移動させて、will が含む直接的ニュアンスを弱めて控えめにした表現。そして will のニュアンスは「意志」「意志がある」から一歩退いて意志があればいいなぁ、と、云々」のような塩梅で捉えると、ニュアンスが捉えやすくなるでしょう。

丁寧な依頼・勧誘(〜してくださいませんか・〜なさいませんか)

Would you? の疑問文は、丁寧な依頼または勧誘を表現する言い方です。

Would you mind 〜 -ing ? と表現すると、さらに改まった響きが表現できます。意志を一歩退いて表現するだけでなく、「そういう意向があればなと」のように述べて間接的な返答・意思表示できるように配慮しているわけです。

Would you call me again 30 minutes later?
30分後に再度お電話を頂ければと

like や care for のような「好む」の意味合いを示す動詞と一緒にwould を用いると、「丁寧な勧誘」の意味合いを表現します。

Would you like one more piece of cake?
ケーキをもう一切れいかがですか?
.
Yes, I’d love it!
はい、ぜひいただきたいです
Would you care for a candy?
お菓子をいかが?
.
No, thank you.
いいえ、結構です

控えめな意志(〜するつもりがあります)

ある条件や仮定に規定された文章に使われる wouldは、「控えめな意志」の意味を持ちます。

この例文ではwhenever 以下が条件部分となっています。

I would go there and share your burden, whenever you call me.
もし呼んでくれれば、いつでもそちらに行ってあなたの重荷を分かち合いましょう

この例文では「もし言葉をかけるなら」の仮定や条件が示唆・省略されていると捉えることができます。

What kind of words would you give to Tom?
トムにどんな言葉をかけるつもりですか

控えめな主観(〜ではないでしょうか)

どちらかというとストレートに内容を伝える印象のある英語ですが、遠回しに断りの意味を伝えるようなwouldの用例があります。difficult などの否定的表現と共に使われます。

It would be difficult for us to accept your offer.
私どもが貴社のご提案をお受けするのは難しいかと存じます

would rather 〜 than …(むしろ〜するだろう)

「…するくらいなら〜したい」という意味を表す構文は would rather 〜 than … です。

I would rather take a taxi than walking there.
そこに歩いて行くよりむしろタクシーを使おうと思う

日本語でも「選ばないほうの選択肢」が省略されるのと同じように、英語でもthan 以下が省略される場合があります。

It’s raining today. I would rather stay at home (than being caught in the rain).
今日は雨だ。(雨に降られるぐらいなら)家にいようと思う

would like to(できれば〜したいのですが)

I want to 〜 の丁寧な言い方が I would like to です。ビジネスでは would like to を使いましょう。

I’d like to get a ticket to Staten Island.
スタテン島行きの切符がほしいのですが

would you mind 〜 ing?(〜していただけますか)

改まった依頼をする場合や、改まった相手に依頼をする場合にはwould you mind 〜 ing? を使います。

Would you mind closing the door?
ドアを閉めていただけますか?

混同する人が多く、試験でも問われやすいのですが、「ドアを閉めてもいいですか」の意味で Would you mind closing the door? と言わないようにしましょう。「(私が)ドアを閉めてもいいですか」と尋ねたい場合には、Would you mind my closing the door? となります。

現在の弱い推量(おそらく〜だろう)

推量の助動詞will のニュアンスをより婉曲に伝えるものとしてwouldが使われることもあります。現在のできごとについてwillと比べると確信度がやや低くなり、控えめで丁寧な意味を持つようになります。

根底ニュアンスとのつながりは、やはりwillのニュアンスをたどるとわかりやすくなります。willの核となる意味は「意志」なのですが、他者の意志の有無については本人しか断言できず、推し量るしかないために「推量」の意味に発展しました。この用例のwouldでは、推量のwillの時制をひとつ過去にずらすことで確信の低さを差し挟み、「〜だろう→ たぶん〜かもしれないですよ」といった感じで控えめ・丁寧な意味合いになっています。

Shall we go on a lunch to the park?
公園にランチしにいきましょうか?
.
Oh, that would be nice!
ああ、よさそうですね!
Who would follow him? He is a cold-blooded person.
誰が彼についていくでしょう、彼は冷血漢ですよ
This tool set would do, I think.
たぶんこの道具セットで間に合うでしょう

仮定

仮定の文脈で使われるwouldもあります。中核イメージからの意味のつながりは、「仮定を差し挟んでいる」と考えることができます。「意志がある→〜する意志があるとしたら…だ/ …したら〜する意志がある」という感じです。

仮定法条件節(意志の仮定 もし〜するつもりがあれば)

仮定法の条件節内のwouldは、意志を仮定するのに使われます。wouldやcouldが入っているとなんとなく過去の話と混同しがちですが、この文例でのwould やcouldは「意味上の距離を出すための過去形」であって、現在の話をしていることに注意しましょう。

If he would, he could make it.
彼にもしその気があるなら、彼は成し遂げることができるでしょう

相手の意志を確認するときに仮定の立場をとると婉曲で丁寧なニュアンスになるので、少し改まった関係で使うことができます。

この文例でも現在のことに触れているので、帰結節に現在形のwillが出てきています。このwillには話者の現在のはっきりした意志表明のニュアンスが見てとれます。

If you would wait for a while, I will go and call him.
少しお待ちいただけるようであれば、彼を呼びにいきます

仮定法帰結節(単純未来 …たら〜するだろう)

仮定法の帰結節に出てくるwouldもあります。仮定法の構文の中でgot, would と過去形になっているだけで、未来のことについて触れています。

If he got to know the truth, he would get furious.
彼が本当のことを知ったら激怒するだろう

仮定法帰結節(意志 …たら〜するつもりだ)

同じように仮定法帰結節に使われるwouldでも、話者の意志を示すものがあります。

If you could pass the exam, I would get you a small thing you want.
もし君が試験に合格できたら、ちょっとしたものなら君の欲しいものを買ってあげるよ

条件節が省略される場合もあります。

(If I asked my opinion,) I wouldn’t say he is a good person.
彼がいい人だと言うつもりはないですねえ

非難(いつも〜するとは!)

非難のwouldの中心にあるのは、「意志があってほしくないのにある」というニュアンスです。根底イメージとの関連でいうと、意志に対して「あってほしくないのに」という意味を差し挟んでいる、という形で捉えることができます。

かなり強い非難の意味を持つので、基本的には親から子ども、指導者から生徒、というような相手が下に立っている関係性でしか使われません。ビジネスでは避けたほうが無難です。

You would lose your handkerchief!
いつもハンカチをなくすんだから!
Be quiet! You would always make loud noises!
静かにしなさい! いつも大きな音をたてるんだから!

過去

意志に単純に時間的な距離を差し挟んだのが、過去のwouldの使い方です。比較的見分けやすく使いやすい構文が多いので、押さえておきましょう。

意志があった→意志があったものだ(過去の習慣)

主にoften, sometimes, always など頻度の副詞と共に表現される文例が過去の習慣のwouldです。

When he was a student, he would often visit Prof. Smith’s laboratory
彼は学生だったとき、よくスミス教授の研究室を訪れたものだった

意志があった→どうしても〜しようとした(過去の強い意志)

強い意志のwillが過去の文脈の中で時制一致してwouldになった文例もあります。構文は簡単ですが、「強い意志のwill」の意味合いが把握できていないと意味がわからなくなってしまうので注意しましょう。

Jane tried to open the window, but the window wouldn’t open.
ジェーンは窓を開けようとしたが、どうしても開かなかった
We tried to persuade him, but he wouldn’t change his opinion,
私たちは彼を説得しようとしたが、彼はどうしても考えを変えなかった

助動詞willの過去形would

ここで、過去のことについて触れているthat節内で助動詞willが時制の一致を起こし、過去形wouldになる使い方についても触れておきましょう。構文が簡単で見分けやすいです。

My grandmother told me that I would be a big person.
祖母は私に「あなたは大物になるわよ」と言った
He said he would go to a university.
彼は「大学に行くつもりだ」と言った
Jane said boys would be boys.
ジェーンは「男の子は男の子(だからしょうがない)よ」と言った
She cried the window wouldn’t open.
彼女は「この窓はどうしても開かない」と叫んだ

 


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