英語では「早口言葉」を tongue twister と言います。英語圏でも早口言葉は正しい発音の練習に活用されます。楽しみながらスピーキングを練習するにはもってこいの題材です。
英語の早口言葉にも色々と種類がありますが、英国の童謡集「Mother Goose」(マザーグース)に登場する早口言葉は代表例と言えるでしょう。英語の教養としても十分に価値があります。
マザーグース(Mother Goose)は英語の欠かせない教養
英語の発音の種類・特徴・正しい発音の方法
早口言葉を練習するコツと心構え
- はじめはゆっくり、一語一語を確認するように読み上げましょう
- 慣れるにつれて徐々に速度を上げていきましょう
- 単語の発音記号をよく確認して正しい発音を意識しましょう
- 文意の考察はほどほどに留めましょう(たいてい無意味です)
- 楽しみながら発音しましょう
ウェブ上で「Tongue twisters」とでも検索すれば色々な種類の早口言葉が見つかります。自分が面白いと感じた・気に入った言い回しを最初の練習台に用いるという取り組み方もお勧めできます。
マザー・グーズの中の早口言葉
「Peter Piper」(ピーター・パイパー)
Peter Piper の唄
A peck of pickled peppers Peter Piper picked.
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers,
Where’s the peck of pickled peppers Peter Piper picked?
ピーター・ペイパーは1ペックの酢漬け唐辛子を摘んだ
ピーター・ペイパーが摘んだ1ペックの酢漬け唐辛子
ピーター・ペイパーがもし1ペックの酢漬け唐辛子を摘んだのなら
ピーター・ペイパーが摘んだ1ペックの酢漬け唐辛子はどこにあるのだろう
/iː/ と /ɪ/ の発音に注意
「Peter Piper」は、Peter Piper(ピーター・パイパー)という名前の男の子(もしくは男性)が peck(ペック)という穀物を量る単位を使って 1 peck(1ペック)の pickled peppers(酢漬けの唐辛子)を摘むというストーリーです。
Peter(/ˈpiː.tə/)、Piper(/ˈpaɪ.pər/)、peck(/pek/)、pickled(/ˈpɪk.əld/)、pepper(/ˈpep.ər/ )、picked(/pɪ́kt/) が似ている発音の単語として並べられています。Peter の /iː/ の発音と pickled や picked の /ɪ/ の発音の違いに注意しましょう。前者は「イ」に近い音で、後者は「イ」と「エ」の中間の音と言われています。
「She Sells Seashells」(彼女は貝を売る)
She Sells Seashells の唄
By the seashore.(海岸で)
The shells she sells,(彼女の売っている貝殻は)
Are surely seashells.(きっと海の貝殻だ)
So if she sells shells,(だから、もし彼女が貝殻を)
On the seashore,(海岸で売っていたら)
I’m sure she sells,(彼女は対価に海の貝殻を)
Seashore shells.(売っているのだ)
/ʃiː/ と /siː/ の発音に注意
「She Sells Seashells」という唄は、女の子(もしくは女性)が seashore(海岸)で seashell(貝殻)を売るというお話です。唄自体が短いので、覚えやすく練習もしやすいでしょう。
she(/ʃiː/)、sell(/sel/)、seashell(/ˈsiː.ʃel/)、seashore(/ˈsiː.ʃɔːr/)、surely(/ˈʃɔː.li/)、sure(/ʃɔːr/)が似た発音の単語です。she(/ʃiː/)と sea(/siː/)の発音を混同しないよう注意しましょう。/ʃiː/ は「シー」、/siː/ は「スィー」に似た発音となります。
「The Butter Betty Bought」(ベティが買ったバター)
The Butter Betty Bought の唄
Betty Botter bought some butter(ベティ・ボターはバターを買った)
But she said this butter’s bitter(しかし、彼女は「これは苦いバターだわと」言った)
If I put it in my batter(「もしホットケーキの素に入れたら、)
It will make my batter bitter,(苦いホットケーキの素になってしまう」)
But a bit of better butter(「でももう少し良いバターがあれば、)
Will surely make my batter better.(より良いホットケーキの素を作れるでしょうね」)
So she bought a bit of butter(そこで彼女は少しだけバターを買った)
Better than her bitter butter(苦いバターよりも良いものを)
And she put it in her batter(そして彼女はバッターの中にそれを混ぜた)
And her batter was not bitter.(そして彼女のバッターは苦くならなかった)
So it was better Betty Botter(つまり、ベティ・ボターにとって)
Bought a bit of better butter. (少しの良いバターを買うことは良いことだったのだ)
/ʌ/ と /æ/ の発音に注意
「The Butter Betty Bought」という唄は、今では「Betty Botter」(ベティ・ボター)とも呼ばれています。マザーグースの唄は作者不明のものが多いのですが、「The Butter Betty Bought」の作者は Carolyn Wells(キャロライン・ウェルズ)であることが分かっています。
この唄は、Betty Botter(ベティ・ボター)という名前の女の子(もしくは女性)が bitter butter(苦いバター)や better butter(より良いバター)を買って、 batter(小麦粉と卵を混ぜた食べ物、パンケーキの素)と混ぜ合わせる話です。
Betty(/béṭi/)、Botter(/ˈbɒtə/)、bitter(/ˈbɪt.ər/)、butter(/ˈbʌt.ər/)、better(/ˈbet.ər/)、batter(/ˈbæt.ər/)、bought(/bɔːt/)、but(/bʌt/)、bit(/bɪt/)が似た発音の単語です。butter や but の /ʌ/ の発音と、batter の /æ/ の発音が似ているため、間違えやすいです。/ʌ/ は口を大きくあけて「ア」と発音するイメージで、/æ/ は「ア」と「エ」の中間音をイメージしてください。