アメリカ英語のスラングに「YOLO」という言葉があります。1980年代に登場した言葉のようですが、2010年代に米国で流行し、2014年までには辞書にも掲載されるほど社会に定着した言葉となりました。
たった4文字ですが、ここには現代人の心にしみるメッセージが込められています。
YOLOは「You Only Live Once」の略
「YOLO」は「You Only Live Once」の頭字語(アクロニム)です。つまり、「人生は一度きり」という意味があります。
たった一度の人生なのだから、何をするにしても楽しまなくちゃ、冒険しなきゃね!というニュアンスといえます。
Oxford英英辞典は2014年時点で「YOLO」を辞書に採録しています。
expressing the view that one should make the most of the present moment without worrying about the future, and often used as a rationale for impulsive or reckless behaviour
発音を、あえてカタカナで書くならば、「ヨーロー」が近いでしょう。YOLO=よろ(よろしく)と結びつけても、それほど見当外れじゃないのかも?
「YOLO」が流行したきっかけ
「YOLO」がブレイクしたきっかけは、カナダのラッパー、Drake(ドレイク)が歌った曲「The Motto」とされています。
「The Motto」には「You only live once: that’s the motto YOLO」という歌詞があります。ほどなくアメリカの若者の間で「YOLO」が流行語となり、「YOLO」とタトゥーを入れる俳優まで登場しました。Twitterなどのソーシャルメディアでも「#YOLO」というハッシュタグをよく見かけるようになります。
「YOLO」と同じ意味の言葉として、「carpe diem」や「seize the day」なども挙げられます。「carpe diem」はラテン語起源の言葉で「今を楽しめ」という意味です。「seize the day」は「その日をつかめ」という意味で、つまり「その日その日を楽しめ」という意味と理解されます。
「YOLO」は議論のタネにもなっている
YOLOは「人生を最大限に楽しもうじゃないか」という、生き急ぐ現代人がハッとするような言葉で、人々に愛好される理由も分かります。
ただし困った側面も浮上しています。YOLOが流行するにつれて、悪行を正当化するための主張として「YOLO」を標榜するという困った使い方も目に付くようになっているのです。
「YOLO」が一大流行を巻き起こした2012年、Twitterでは「#YOLO」のハッシュタグをつけて違反行為自慢をツイートするユーザーが急増しました。ワシントンポストはこうしたあり方に苦言を呈する記事を書いています。同記事では「60日間刑務所に入る危険を冒す・・・ #YOLO」というような向こう見ずなツイートが紹介されています。
#YOLO: The newest acronym you’ll love to hate(2012/04/06) – The Washington Post
とはいえ、「YOLO」という言葉が社会に定着していることは間違いありません。実際に、ワシントンポストの記事では政治関連のニュースでも「YOLO」という単語が使われています。ポジティブな意味で使われているとは言い難いのですが・・・。