英語には頭の良し悪しを形容する表現が沢山あります。「頭のよさ」を表現する語もあれば、「頭のわるさ」を表現する語も豊富です。
愚かさ・バカさにも色々なニュアンスがあります。腹立たしい愚かさ、許せるおバカさ、呆れてしまうような能なし加減など。英語の形容詞はこうしたニュアンスの違いを一語で言い分けられるものが少なくありません。
大前提として「ばか」「あたまが悪い」といった評価は人をけなすことになるネガティブな表現です。使用はできるだけ控えたほうがよいでしょう。
目次
stupid は 人を怒らせるタイプの愚かさ
stupid は、知的な鋭さや賢さが欠如しているさまを表します。多分に辛辣なニュアンスがあり、相手にイラ立っている場合や相手を警告する場合などに用いられます。
stupid は人の馬鹿さの他に、行動・発言・判断そのものなどを形容する際にも用いられます。日本語の「愚か(な)」が一番しっくり来る表現です。
stupid は、けっして冗談めいて言ってよい表現ではありません。言われた相手は憤慨するでしょう。相手に stupid と言われたなら、相手はもう憤慨している可能性が大です。
おまえが愚か者だということがよく分かった
それを信じたとは彼女も愚かなものだ
馬鹿にすべき愚かな質問など存在しない
(質問はいかなる内容であっても尊ぶべきものだ)
(「聞かぬは一生の恥」だ)
silly は わりと許せるタイプのおバカさ
silly は判断や思慮が足りていないという種類の馬鹿さを中心とする表現で、多分に「無邪気さ」や「憎めなさ」といったニュアンスを含みます。日本語でいうところの「お馬鹿」に通じます。「ちょっと抜けている」も近いでしょう。
silly は、もともとは古英語「sely」( happy の意味)が転じた語とされています。ちょうど日本語の「おめでたい」と同じような経緯です。
silly は冗談程度で言う表現であり、シリアスな場面では却って使われません。
きみはいつも授業でマヌケな質問をする
お前さんも馬鹿だねぇ
ばかなまねしなさんなよ
foolish は知能が足りない正統派バカ
foolish は知能の部分が劣っていることに起因する常識・良識や一般的な判断力の欠如を表す、その意味では日本語の「頭が悪い」「馬鹿」の本来的ニュアンスに近い表現です。
冗談で用いられることもありますが、シリアスな場面でも使われます。軽口のつもりが一触即発、という可能性もありますのでご注意を。
これまでに会った奴にも馬鹿はいたけど、君はダントツで馬鹿だよ
あなたは、私がそんな根拠のないばかげた話を信じるとでも思ったのか
idiot は 人に対してのみ使う stupid
idiot は英語辞書で a stupid person. のように定義される表現です。すなわち、意味は stupid と同じ、そして指す対象は人に限定されます。
語源はどうもラテン語~ギリシア語まで遡るようです。
あなたは何も知らない馬鹿者だ
あなたを信じた私が馬鹿だった
英語圏のネット界隈では、人を煽るネットスラングとして(「ばかめ」といったニュアンスで) idiot が多く使われています。
jerk は バカで気に障るヤツ
jerk は俗に「バカ」の意味合いで用いられます。「傲慢な」「無神経な」「思いやりのない」といった、こちらが不快になるニュアンスが含まれます。
あなたって人は本当にバカよ!私をショッピングセンターに残して3時間だなんて
自分と気が合わない人がいる
dumb はトロい鈍いバカ【使用注意】
dumb(発音は /dʌm/ )は「口のきけない」「無口な」という意味の語で、口語表現としては「まぬけ」「のろま」といった、頭の回転が鈍い人を指す表現として使われることがあります。
基本的にかなりの差別・侮蔑のニュアンスを含んだ表現です。まず禁句と考えてよいでしょう。
moron は知恵遅れのバカ【使用注意】
moron は医学分野で「精神年齢が児童(8~12歳)レベルの成人」という意味で使われ、転じて俗に「まぬけ」「ばか」「低レベル」という意味で使われるようになった表現です。
こちらも基本的にかなりの差別・侮蔑のニュアンスを含んだ表現です。まず禁句と考えましょう。とはいえ、実際には使用される機会がままあるのも事実です。
ちなみに、1990年代初頭にアメリカで公開され一世を風靡したゴシック・ホラー・コメディ(笑)映画「アダムス・ファミリー」では、アダムス家のあわれな隣人が You moron ! といってアダムス氏を罵倒しているシーンがあります。
あえて誤解を恐れずにいえば、moron は日本語で「このキチ * イが!」と罵るような感覚に通じるものがありそうにも思われます。