「音痴」「方向オンチ」「機械オンチ」は英語でどう言う?

日本語の「音痴(オンチ)」に対応する英語表現は、 tone deaf  のように表現できます。ただし「方向オンチ」や「機械オンチ」のような言い方は、もっと違った表現を探す必要があります。

「方向オンチ」のように接尾辞的に用いられる「オンチ」は not good at ~ あるいは have no sense of ~ のように叙述する言い方で適切に表現できます。品詞に囚われず言い換えられる柔軟な発想を鍛えましょう。

いわゆる「音痴」を表現する言い方

音痴の基本的な意味は、音感が鈍かったり人とは違ったりしていて上手く歌えない人、といったところ。

英語にも音痴な人を指す言い方はいくつかあります。

tone deaf

tone は「調子」を意味する語、deaf は「聾」(耳が不自由)という意味の語です。耳に音色を聞き分ける能力がない、といった意味合いで「音痴」の状況を表現します。

tone deaf は字面上かなりキツさのある表現といえます(日本語の「音痴」の字も大概アレですが)。とはいえ特にタブー視される表現というわけでもなく、日本語の音痴と同程度にはよく使われています。

tone deaf は「トンチンカン」程度のニュアンスで幅広く使われる言い方

tone deaf は、音感に関する「オンチ」の他にも、いろいろな種類の「感覚のズレ」「ダメさ加減」を述べる言い方として用いられています。

日本語で捉えるなら「~オンチ」よりも「トンチンカンな」という言い方の方がニュアンスが近そうです。

Sexual Harassment At Tesla, + Tesla’s & Elon’s Tone Deaf Responses
テスラにおけるセクハラ事件と、テスラそしてエロン(CEO)のトンチンカンな対応
NYTimes Runs Shockingly Tone Deaf Editorial About Gun Politics Following VA Shooting
NYT紙、VAシューティングゲームの登場がもたらす銃規制論争についてびっくりするほどトンチンカンな社説を掲載

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poor pitch singer

歌がヘタ!という意味合いなら poor pitch singer という言い方で表現してもよいでしょう。

pitch は「音程」を指す語。音の調子を曲や演奏に合わせる能力に乏しい人、調子はずれに歌う歌い手、という意味で音痴を表現する言い方です。

have no ear (for music)

have no ear も音痴に通じる表現といえるでしょう。ただし歌うのがヘタという意味合いよりは、「音楽を理解できる」「耳が肥えている」といった鑑賞力のニュアンスに寄る表現です。

日本語で「聞く耳を持たない」と表現する言い方のような(「助言などに耳を傾けない」といった意味の)用法で have no ear to hear ~ と述べる言い方も、ない訳ではないようですが、そういった意味合いで用いられている例は極めて稀です。

have a tin ear

have no earと同様の言い回しで have a tin ear と述べる言い方もあります。tin は「スズまたはブリキ(でできている)」という意味の語。

have no ear も have a tin ear も、通俗的な表現です。


「オンチ」は「苦手」「不得意」のように言い換えて考えよう

方向オンチ、運動オンチ、機械オンチ、味覚オンチ、恋愛オンチ、あるいは政治オンチ、といった言い方における「オンチ」の意味合いは、 tone deaf 等の表現ではイマイチ表現できません。

「オンチ」の含意を「~が苦手」「得意でない」あるいは「感覚が貧相」という風に捉え直してみると、その趣旨を英語で表現する言い方が見つかります。

  • not good at ~ (上手でない)
  • bad at ~ (下手だ)
  • terrible at ~ (すごくヘタだ)
  • can’t ~ (できない)
  • poor sense of ~ (センスが乏しい)
  • not ~ savvy (勝手が分からない)

not good at ~

not good at ~ は「得意でない」あるいは「上手でない」と叙述する言い方です。文脈によっては「苦手だ」と述べるニュアンスでも使えます。

I’m not good at drawing.
私は絵が下手です

bad at~

not good at ~ よりも率直に bad at ~ と述べてしまう言い方もアリでしょう。

bad は not good よりもさらに苦手・不得意というニュアンスに傾き、「本当に苦手」「てんでダメ」くらいのニュアンスを醸します。「苦手だからやりたくない」という意味合いに受け取られる場合もままあります。

terrible at ~

not good at や bad at と同種の表現としては terrible at ~ も挙げられます。

terribleは基本的に「恐ろしい」「ぞっとするような」といった意味合いの語ですが、叙述用法で「恐ろしく下手」という意味で用いられることがあります。

terrible at sports と言えば「運動がからっきしダメ」ということで「運動オンチ」のニュアンスがそこそこ再現できそうです。

can’t ~

can’t ~(can not ~)は、「できない」「能力がない」といった意味の言い方ですが、得意・不得意について述べる文脈では「まともにできない(くらい不得意だ)」という意味で使えます。

She can’t act.
彼女はまともに演技できない
He can’t play any sports.
彼は何のスポーツをやらせてもダメだ

have poor sense of ~

have poor sense of ~ は「感覚が貧相だ」という意味でオンチっぷりを表現する言い方です。

sense(感性)について言及する言い方なので、特に味覚や方向感覚といった「感じ取る」種類の能力について述べる場面で幅広く使えます。

I have poor sense of taste.
私は味覚オンチだ
Sara has poor sense of direction.
彼女は方向オンチだ

not ~ -savvy

savvy は主にアメリカ英語で「~に精通している」「通な」という意味で使われる語です。

savvy は名詞とハイフンで連結させて computer-savvy(PC通)や music-savvy(音楽通)のように表現する言い方でもよく用いられます。

そして、「savvy ではない」と表現すれば「通でない」「疎い」という意味が表現できます。

Matsuo Basho? Who’s that? I’m not history-savvy.
松尾芭蕉?誰それ?僕は歴史オンチなんだよ

new-fangled

new-fangled は「最新の」「今風の」を表す形容表現ですが「新しすぎて苦手だ、嫌いだ」というニュアンスも含みます。「自分には新しすぎて扱いきれないもの」を new-fangled で修飾すると、「機械オンチな自分には難しい」という文脈を表現できます。

That new-fangled phone from my daughter makes me nervous.
機械オンチなので、娘からもらった携帯は今風過ぎてよく分らん

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