「眠い」「眠たい」を表現する英語といえば、まずは sleepy あたりが思い浮かびますが、実際は tired と表現した方が意図したニュアンスに近い表現だったりするので要注意です。
直接に「眠い」と表現する言い方の他にも、「まぶたが重い」のような慣用的な言い回しや、「ウトウトする」といった周辺状況を述べる言い方があります。表現の幅を増やせば、自分の眠さのニュアンスにバッチリ合う表現が選べるようになります。
sleepy と tired
英語の sleepy は、確かに日本語の「眠い」に対応する英語表現ではありますが、日本語の「眠い」の語ほど汎用的でなく、眠さのニュアンスが限られます。
tired は「疲れた、もう眠りたい」
まず tired の語から確認してみましょう。
tired は基本的に「疲れた」という訳語で把握されますが、英語辞書の多くは(「心身がくたびれた」というよりもむしろ)「休息を欲している」という観点から語義を特徴づけています。
In need of sleep or rest; weary:
(睡眠ないし休息を必要としている、疲弊)
―― OxfordDictionaries
※「くたびれた」という点に着眼して定義している英語辞書もあります
つまり、「体を休めたい」という欲求を含む眠たさは tired で無難に表現できます。
仕事疲れ、勉強疲れ、遊び疲れなどによる眠気・眠さは、「もう疲れた、休みたい」という意味で tired を使って述べてよいわけです。
もちろん、眠気の有無にかかわらず疲労感を示す意味で tired と述べても問題ありません。
sleepy は「なんだか眠たくなってきた」
英語辞書の定義を参照すると、sleepy も「眠い」状態を表現する言い方であることには違いありませんが、休息を欲するというニュアンスは希薄で、むしろ「おねむ」とでも表現すべきニュアンスに寄っています。
Needing or ready for sleep:
(睡眠を欲しているか、眠りかけている)
– Showing the effects of sleep:
(眠るそぶりを見せ始めている)
―― OxfordDictionaries
昼下がりに縁側で日なたぼっこ・図書館でまったり読書の最中に午睡に誘われている状況を表現する場合なら、 tired よりは sleepy の方がふさわしいでしょう。
4時間目の体育の授業が水泳+給食からの5時間目の授業中に襲ってくる眠さは、sleepy でも tired でも、どちらでもハマりそうです。
drowsy と dozy
drowsy も「眠い」様子を表現する形容詞です。派生元である動詞 drowse は、「居眠りする」「うとうとする」「うたた寝する」という意味合い。午睡のまどろみ、のようなニュアンスがあります。
dozy も drowsy と同様に、動詞 doze(うとうとする)から派生して「眠たい」という意味合いで用いられる形容詞です。
動詞としては drowse より doze の方が一般的に用いられる表現とされています。
heavy-eyed
heavy-eyed は日本語の「まぶたが重い」に対応する比喩的な言い回しです。英語ではまぶた(瞼)そのものは eyelid といいます。heavy-eyed は「目が重い」という表現であることになります。
OxfordDictionaries では heavy-eyed を「Appearing tired or sleepy.」と定義しています。この記述は、 tired と sleepy のニュアンスが微妙に異なることを示唆しつつ、heavy-eyed という表現がどちらの意味合いでも使える便利表現であることを示しています。
want to go to bed
率直に「布団に入りたい」と述べて「眠りたい」ことを示す言い方もアリでしょう。want to go to bed といえば十分に眠さを表現できます。
want to を省略して wanna go to bed と言う場合も多々あります。
ベッド(布団)は睡眠を取って体を休める場所です。睡眠が必要なのか、休息が必要なのか、という細かい区別に気を囚われずに気軽に使えるフレーズです。(睡眠と休息は不可分と考えてよさそうですが)