仕事や日課を面倒・億劫だからといって怠ることを「サボる」といいますが、これを英語で表現する場合はちょっとした工夫が必要です。
「サボる」という語はフランス語のサボタージュ(sabotage)を転用した言い方です。英語でも sabotage という表現が用いられることがありますが、もともと sabotage は「怠業」「破壊行為」という意味があり、日本語の「サボる」の意味合いでは伝わりません。
英語では基礎的な語で「サボる」の意味合いが表現できます。その際、学校や会社を「休む」という意味なのか、あるいは勉強や仕事を「怠ける」「手を抜く」という意味なのか、その辺を念頭において表現を選ぶと適切な語彙が見つかります。
みんなの回答:あー、明日部活さぼろうかな。は英語でどう言うの?
目次
「休む」「行かない」という意味で使える英語表現
サボりには「そもそも行かない」種類のサボりと「現場に居て手を抜く」種類のサボりがあります。
そもそも行かない、出席しないタイプのサボりは、skip(休む)や cut(行かない)のような語で表現できます。
skip
skip は基本的には「飛ぶ」「飛ばす」という意味ので用いられます。そして「行わない」「行かない」という意味合いでも用いられます。
skip の語そのものに「怠慢」というような含意はありません。やむを得ない理由があって休む場合も skip で表現できます。skip がサボり相当か否かは、文脈次第、休んだ理由次第です。
数学の授業をサボって、映画を観に行きたい
サボりでないなら miss と表現するのも手
miss にも「しない」「行かない」という意味があります。ただし miss は、怠慢による意図的なサボりというより、本当はするつもりだったけどやり損なった、し逃した、というニュアンスを込めて用いられます。
悔いる気持ちを込めて述べる場合には miss の方が語弊がなく伝わるでしょう。
cut
cut も「行かない」という意味で使われます。主にアメリカ英語で用いられる口語表現です。
cut はもっぱら「本当は行かなければならないのに行かなかった」という状況を示します。
cut 自体、さまざまな意味で用いられる語です。
知っているかしら?あなたの息子さん、授業をサボっていますよ
escape
escape は「(自由になるために)逃げる」という意味の語です。普通は「良からぬものを遠ざける」という意味で用いられます。学校や仕事から逃げる(サボる)という意味合いでも使えます。
学校から逃げ出して友達に会った
wag off
wag off はイギリス英語の口語表現で、欠席・早退といった意味で用いられる句動詞です。wag 自体は「上下左右に動かす」という意味の動詞。
「そこにいるべきなのに、いなくなってしまう」という否定的なニュアンスが含まれた言い方です。
仕事があまりにツマラナかったから、上司に何も言わず仕事を休んだ
absent (from)
absent from も「本来いるべき所に不在」という状況を指す表現です。日本語ではたいてい「不在」「欠席」と訳されます。職場や学校に出席していない状況を表現する際に多く用いられます。
absent from 自体に「サボる」という否定的な意味合いは特にありません。病欠などのやむを得ない事情をための欠席も absent from で表現できます。
absent oneself from と述べると、もっと丁寧でかしこまった表現に響きます。
娘は1週間ずっと学校を休んでいた。何となくという理由であった
fail to attend
fail to attend は「出席しそこねる」ということで「欠席」を表現する言い方です。
fail to attend も表現そのものにサボりのニュアンスが含まれているわけではなく、やむを得ない理由で欠席・欠勤する場面でも使えます。サボりのニュアンスを込める場合には intentionally(わざと)や because of truancy(ずる休みで)といった言い方を添えて表現するとうまく伝わるでしょう。
彼は5日以上、ずる休みで欠席している
「すっぽかす」「バックレる」くらいの意味で使える英語表現
skip や absent from は「やむなく休む」意味でも使えますが、もっと悪辣なサボりを表現できる、否定的な意味合いの色濃い表現も色々とあります。
ditch
ditch は「捨てる」「逃れる」という意味で使われる単語です。特にアメリカ英語では、子どもが学校をズル休みする、という意味で用いられることがままあります。
良い天気だな!今日は学校サボっちゃおうぜ
play truant または play hooky
play truant および play hooky は、学校をズル休みすることを指す表現です。
play truant は主にイギリス英語で用いられる言い方です。アメリカ英語では truant の代わりに hooky を用いて play hooky と言います。
truant は名詞としては「日常的に学校をサボっているガキ」という意味を持ちます。
昨日ずる休みしたんだって?どこに行っていたのさ?
学校をずる休みしている子どもを見つけた
bunk off
bunk off は「こっそりと逃げ出す」という意味の表現です。場面によっては「許可なしに欠席・早退する」という意味で用いられます。
bunk off は主にイギリス英語で用いられる口語表現です。学校を休むときにも、仕事を休むときにも、どちらの場合でも使えます。
多くの人は金曜日には早めにいなくなる
skive off
skive off も主にイギリス英語で用いられる言い回しです。許可なく仕事や任務を休む、という意味で用いられます。
skive は名詞として「安易な選択肢」という意味で用いられることもあります。
「仮病を使う」と表現する言い方
病気(仮病)はサボる口実としてよく引き合いに出される理由です。「仮病」と述べるだけでも、ああ何かサボるんだなということがだいたい察せられます。
仮病は、play(演技をする)や pretend(振りをする)などの動詞を使って無難に表現できます。
「病気」は illness あるいは sick と表現できます。
英語で「病気・具合が悪い」と表現する sick、 ill その他の言い方
fake illness
仮病を表現する英語の言い方、と考えた場合、まずは fake illness が思いつくでしょう。
fake には「偽造する」「偽装する」といった他動詞の意味用法があります。fake illness は「病気と偽る」ということで仮病を表現できます。
feign illness
feign illness も「仮病」に対応する言い方です。ややかしこまった表現といえるでしょう。
feign は「装う」「フリをする」といった意味の動詞です。基本的に他動詞として用いられ、目的語に illness(病気)を取って feign illness と述べれば「病気を装う=仮病」が表現できます。
なお feign の発音は /féɪn/ です。
おそらく、彼は仮病を使っているだけだろう。ほんの数日前に彼を遊園地で見たから
pretend to be illness
pretend to be illness は「仮病を使う」という意味で使える表現です。
pretend は「振りをする」「偽る」「見せかける」という意味の動詞。人の目を欺くための行動というニュアンスが多分に含まれます。
play sick
play sick も病気のフリ、つまり仮病を使うことを表現できる言い方です。
play は「遊ぶ」という意味を基本としますが、「演技する」「見せかける」という意味もあります。
feign illness や pretend to be illness に比べるとカジュアルな表現です。
malinger
malinger は「任務を逃れるために病気のフリをする」という意味の動詞です。つまり「仮病を使う」と端的に表現する語。
Definition of malinger in English:
Pretend to be ill in order to escape duty or work.
仕事や任務から逃れるため、病気の振りをすること
―― OxfordDictionaries
もっぱら仮病を口実に仕事を休む(サボる)場面を指して用いられます。
malingerer といえば仮病を使う人を指します。
彼女は本当に病気なのか、それとも仮病を使っているのか。どう思う?
「ダラケる」「すべきことをしない」という意味で使える英語表現
サボり方のうち「そもそも行かない」種類のサボりでなく「現場に居るけど真面目にやらない」「手を抜いて済ます」種類のサボりは、また別種の表現がハマります。
loaf
loaf は「活動をサボる」という意味で使われる動詞です。名詞としてはパン1斤のような「かたまり」を指す語義があります。
loaf on the job と言えば「仕事をだらだらを行う」さまを指します。loaf around は「時間を無駄にする」という意味で使えます。
従業員らがだらだら仕事をするのが不思議だ
blow off
blow off は「やるべきことをしない」「意図的に仕事や約束をすっぽかす」という意味の句動詞。アメリカでは学生のサボり行為を表現する場面でまま用いられる表現です。
彼らは一日中サボって授業に出ないと決めた
slack off
slack off は普段よりも手を抜いている状況を指す言い方です。おおむね「不真面目に」「怠ける」と訳されます。
slack は「緩い」「弛んだ」という意味の語です。
上司が外出すると、彼はいつも仕事をサボる
goof off
goof off は「仕事を避ける」ことを指す句動詞です。動詞の他に名詞として「サボり屋」「ナマケ者」という意味で用いられることも多々あります。
goof 自体は動詞で「ヘマをする」「怠ける」、名詞で「ヘマ」「つまらないミス」といった意味があります。goof の形容詞形が goofy(グーフィー)。
教師は生徒らに、サボるのは止めて勉強に戻るよう言った
dodge
dodge には「不愉快なことを避ける」という意味があります。dodge work で「仕事を避ける(サボる)」、dodge class で「授業を避ける(サボる)」という意味合いが表現できます。
flub the dub
flub the dub (もしくは flub dubs )もが「サボる」「怠ける」という意味で使える表現です。アメリカ英語のスラング表現で、主に仕事をサボるという意味で使われます。
flub the dub および flub dubs には、サボる意味合いの他に「しくじる」「失敗する」という意味合いもあります。
1年間が過ぎて、彼はどのように仕事をサボるかを学んだ
french leave
french leave は名詞で、「許可なく退出する」「無断で出ていく」という意味の表現です。通常、動詞 take と一緒に使われます。
パーティー等では主宰に挨拶せず勝手に帰る、それがフランス式の中座の方法、というステレオタイプ的な見方に基づく言い回しです。
french leave は半ば死語めいた言い方であり、最近では見聞きする機会は稀といえます。完全に廃れた言い方というわけではありませんが。
今日、君は仕事をサボっているんだと思っていたよ