英語圏ではハグ(hug)と呼ばれる軽い抱擁があいさつ表現として気軽に行われます。英語圏に限らず、西欧をはじめとする多くの文化圏ではハグは親密さを表現する非言語行為として行われます。
相手を抱きかかえる・腕で包み込む動作を指す言い方は、ハグの他にも複数あり、相手への愛情の度合いや抱擁の強さの度合いなどに応じて表現が使い分けられます。
目次
hug はあいさつ行為としての抱擁を幅広く指す表現
hug (ハグ)はあいさつ表現・非言語コミュニケーションとして行われる抱擁を指す基本表現です。基本的に他動詞として用いられます。名詞としても使えます。
ハグは相手との関係や行う場面、強さの程度などにかかわらず、幅広く用いられる語です。
- 親密な人と行う抱擁も、初対面の人と交わす挨拶としての抱擁も、ハグと表現できます。
- 出会いの場面や別れの場面だけでなく、喜びを分かち合ったり慰めたりする場面で行われる抱擁も、ハグと表現できます。
- ふんわり軽く包むような抱擁も、熱烈に抱きしめるような抱擁も、ハグと表現できます。
熱意を込めてギュッと抱きしめるようにハグする場合は、副詞 closely を言い添えて hug ~ closely と述べるとうまく表現できます。名詞としては big hug という言い方もできます。
男同士が荒々しく力強くガッシと抱き合うようなハグは bear hug とも表現できます。bear hug はプロレス技としての「鯖折り」の技名でもあります。
彼女は私をギュッとハグして「また会いましょう」と言った
彼は僕をきつく抱きしめてから、ドアの外へ押し出した
ハグしてちょうだい
embrace は日本語の「抱擁」に近いニュアンスの語
embrace も hug と同様に抱擁する動作を指す語です。主に他動詞として用いられます。
embrace には、とりわけ「愛情を込めて抱きしめる」という意味合い、親密な人と行う愛情表現のニュアンスが多分に含まれます。日本語の「抱擁」に近いニュアンスといえるでしょう。hug よりはかたい響きがあり、使いどころもやや絞られます。
embrace には「包含する」「喜んで応ずる」といった意味もあります。愛情と寛大な心をもって喜ばしいものを包み込むようなイメージと捉えてよいでしょう。機会や思想を「受け入れる」という意味でも使われます。こちらの意味で用いられている例の方が見聞きする機会は多いかもしれません。
専門家らは教師にITの活用を強く促している
― the Guardian, 30 September 2017
cuddle は愛情表現としてのあつい抱擁
cuddle は、互いに愛情をもって結ばれている相手との、愛情表現としての抱擁を指す表現です。強く固く抱きしめ合うようにして抱擁するニュアンスがあります。恋人とイチャついて抱き合うさまも cuddle で表現できます。
その夫婦は後部座席でイチャイチャしていた
cuddle は、他動詞の用法の他に自動詞の用法もあります。自動詞として用いられる場合、「寄り添う(ようにする)」という意味で用いられることが多々あります。愛情表現として寄り添う場面だけでなく、寒いから身を寄せ合い(くっつき合う)という場面でも使われます。
子ネズミ達は暖かくなるように体を寄せあった
snuggle はかわいがって抱き寄せる行為
snuggle は子どもやペットなどを抱く動作について用いられる語です。愛情や温かい気持ちをもって「抱き寄せる」ようにするハグといえます。
snuggle も他動詞と自動詞それぞれの用法があり、自動詞としては子どもやペットが「寄り添う」「すり寄る」といった意味合いをとります。
他動詞にしても自動詞にしても、暖かく心地の良い場所に移動して安らぎを与えるというニュアンスが感じられます。
母親は赤ん坊を腕の中で抱きしめた
私は彼の温かい両腕に抱かれた