「罪」を意味する英単語はいくつかあります。シーンごとにどのように使い分けるのか見てみましょう。
法的な犯罪は「crime」
いわゆる犯罪行為、法律に背き処罰の対象となる行いは、crime と呼ばれます。罪の程度にかかわらず、重犯罪も軽犯罪も crime と総称されます。
It seems like a perfect crime.
完全犯罪のようにも思われる
Such crimes are getting out of our hands.
そのような犯罪は私達の手に負えなくなっている
罪を犯すと表現する場合には、動詞として commit がよく用いられます。
- commit a crime 罪を犯す
なお「死罪」は capital crime と表現されます。
違反や反則は「offence」
offence は法律に限らず、規則や規範を逸脱する行為を指す語です。法に背く(犯罪)行為の他、義務を怠る、反則行為をする、作法を守らない、といった、慣習に背く行い全般が offence で表現されます。
犯罪・違法行為の意味合いで用いられる場合には、もっぱら比較的警備な犯罪(軽犯罪)について用いられるようです。
なお offence や defence はアメリカ英語の綴りで、イギリス英語では offense および defense の綴りが一般的です。
Never forget! Such an offence cannot be overlooked again.
忘れるなよ!今度違反したら見過ごさないからな
I got a sermon from the police for a parking offence.
駐車違反で警察官から説教を受けた
スポーツにおける「攻撃側」をオフェンスといいますが、これも同じ offense の綴りです。defence の対義語です。
宗教上の罪は「sin」
人間社会における犯罪ではなく、人の神に対する罪は、sin と呼ばれます。sin はすなわち divine law(神からの命令)に背く行いであり、人間が等し並みに宿命的に背負っている罪です。
キリスト教における「原罪」は original sin の訳語です。
口語的なニュアンスで、単に「非常識なこと」や「不道徳」程度の意味で用いられる場合もあります。
I think it is a sin to waste so much money without any thoughts.
私が思うに、考えもなしに大金を無駄遣いにしては罰が当たるよ
He said that I was absolved of my sin.
彼は私の罪は許されたと言った
Can I confess you my sin?
あなたに罪の告白をしても良いでしょうか?
なお、神への冒涜(涜神)は blasphemy のように表現されます。聖なるものを汚す所行は desecration などとも言います。だいたい日本語だと「罰当たり」と訳されることがあります。
悪徳非業は「vice」
日本語の「罪」に直接対応する場合はあまりないでしょうけれど、crime や sin の関連語として vice も覚えておきましょう。
vice は堕落や非行といった不道徳行為、背徳といった意味で用いられる表現です。対義語は virtue (美徳)。
不道徳であり邪悪というニュアンスの語としては wicked もしばしば用いられます。こちらは「罪深い」と訳されることも多々あります。
背負っている罪は「guilt」
罪そのものというより「罪に関わっていること」や「有罪であること」を指し示す場合には guilt と表現されます。罪そのもの(罪状)という意味でも使われます。
罪を負っている=有罪であるという意味では guilt の形容詞形である guilty が一般的です。
She said she had feelings of guilt about leaving her babies.
彼女は、幼い赤ちゃんを残して行ったことに罪悪感を感じたと話した
He still denies his guilt.
彼はまだ自分の罪を否認している
She frankly admitted her guilt and started talking her motive.
彼女は率直に罪を認め、その動機について語り始めた
色めいた意味合いの比喩的な「罪」は
日本語では「罪な男」とか「罪作りな人」のような言い回しがあります。この場合の「罪」は、思わせぶりな態度で異性を誘惑する様子などを指す言い方で、比喩あるいは冗談めかした言い方です。
英語では、こうした様子を直接「罪」に対応する語では表現する言い方は特にありません。
英語で「罪なヤツ」と表現するなら、flirt などの表現が適当でしょう。flirt は「遊び人」「女たらし」といった意味合いの語です。男性にも女性にも使えます。
男性なら womanizer(女たらし)、女性なら vamp(魔性の女)のような語も使えます。
彼は本当に罪作りな男だった、でも気が付かなかったの!