英語の助動詞「must」「have to」「should」は、どれも「~しなければならない」という《義務》の意味を示す助動詞です。意味や用法の違いは曖昧になりがちですが、たとえば「強制の強さの度合い」などに違いが見出せます。
ニュアンスの程度の違いを正しく把握できれば、文脈に応じて must、have to、should、あるいはその他の助動詞のうち、どの助動詞を用いるべきか、判断しやすくなります。
おおまかな把握としては must > have to > should
助動詞が相手に《強いる》程度を段階別に並べるとすれば、おおむね must > have to > should の順になるといえるでしょう。
must が最も強い意味を示し、have to、should と続きます。
英語の must は《義務》を表す助動詞
英語の助動詞 must は「~しなければならない」と訳される助動詞表現のうち最も強いるニュアンスを伴う助動詞といえます。
must を伴って示される内容は、端的にいえば「逆えない」「背くことが念頭に置かれていない」ような《命令》です。
must が示す「強いる度合い」は強烈です。人に向かって何事か指示する場面では、往々にして、日本語訳した訳文から感じられるニュアンスよりもはるかに強烈な「強制感」が出がちです。
たとえば You must study English. は日本語では「あなたは英語を勉強しなければならない」とかいう風に訳されるでしょうけど、実際の英語のニュアンスでは「英語を勉強しろ!!」というような語気のこもったニュアンスで響いたりします。
英語の have to は客観的に見て必要なことを表す助動詞表現
have to は、周囲の状況などを踏まえて「客観的にいってやる必要がある」という意味合いで用いられる表現といえます。
have to は must と比べると強いるニュアンスは控えめです。人に向かって「~しなければならない」と伝える場面でも使えます。
明日までにその書類を提出してください
英語の should は助言や提案を表す表現
should は「強制」というよりは推奨・奨励・提案のニュアンスに近い助動詞です。強いる程度は must や have to と比べると弱めです。
should は「~しなければならない」とも訳せますが、「~したほうがよい」くらいの訳せる場合も多々あります。最もしっくり来る訳語は「~するべきだ」かもしれません。
もう家に帰ったほうが良いよ
コアイメージを把握することが本質的な理解のコツ
この「 must > have to > should」という並べ方や、意味・用法の比較対照は、あくまでも簡素な便宜的な対比です。
比較して把握すること自体は優れた学習方法ではありますが、助動詞それぞれの根本的な意味を正しく理解するには、やはり、各助動詞について深く掘り下げる形の学び方が欠かせません。
英語の助動詞は、意味も用法も多岐にわたり、なかなか理解しがたいクセモノです。とはいえ表面的な語義の根底にはひとつの共通点あるいは根源的な意味合いのイメージが見出せます。いわゆるひとつの「コアイメージ」です。
英語の助動詞「must」の基礎イメージと覚え方・使い方
英語の助動詞表現「have to」の基礎イメージと覚え方・使い方
英語の助動詞「should」の基礎イメージと覚え方・使い方
コアイメージを理解する取り組みは、いかにも遠回りな学習法にも思えそうですが、語義をしっかり根底から把握できればその後の英語学習で迷いが生じることはありません。遠回りなようでいて実は長い目でみればずっと効率的な近道といえるはずです。