人の容姿をとやかく言う、それは人の性というものです。「美しい」と述べる言葉があれば、逆に「美しくない」と表現する言い方もあります。
美人不美人という評価は、相対的で一面的な価値観に過ぎません。不美人と評価する者は人の美しさに気づけない哀れな人。言われた側の身になって考るまでもなく、そうそう口に出してよい表現でないことは明白です。とはいえ、「不美人」と評価する言葉はあることもまた事実なわけで。
使わない語彙・使うべきでない語彙は、必ずしも、知らなくてもよい語彙であるとは限りません。使い所をよくわきまえた上で、表現そのものは知っておきましょう。
英語で表現する「美しい」の場面別うまい言い方
英語で「ほっそりした身体つき」を褒める上手な言い方
英語で「デブ」「ほっそり」「ちび」を表現する言い方
英語で「ぽっちゃり」のように穏便に「おデブ」を指す英語表現
英語で表現する「見た目」「外見」の英語フレーズと考え方
英語で「魅力的な異性」を表現するスラングは国によっても違いがある
使われる機会はある(もちろん失礼な)言い方
plain (地味)
plain は見た目に特徴がなく地味と形容する言い方です。「平凡な顔」くらいの表現。
布地を plain と形容する場合は「無地」を、性格は「率直」、聴覚視覚は「明瞭」、文章表現については「平明」といった意味合いを加える形容詞なのですが、人の器量を plain と形容する場合には美しくないという意味が主になります。
彼女があそこまで陰気じゃなければ、彼女の地味な見た目はそれほど気にならなかったのに
unattractive (魅力がない)
unattractive は attractive (魅力的)に否定を表す接頭辞 -un を加えた語で、魅力的でないさま、人を引きつける美しさのないさまを表現します。
unattractive は容姿に限らず内面的な魅力に欠ける・つまらない人間という意味合いでも使えます。
彼女は自分が太っているため、魅力的でないと信じ込んでいる
unprepossessing (人好きのしない)
unprepossessing は prepossessing(好感が持てる)に否定の接頭辞を加えた表現で、あまり好ましい印象を抱かない、人好きのしない様子を指す言い方です。
unprepossessing は、見た目が美しくない、どこか感じが悪い、といった様子を表現します。人に限らず文物を評価する場面でも使えます。
彼は、ホテルにいる、見たところ感じの悪いスタッフにがっかりした
as plain as a pikestaff (見た目が微妙)
as plain as a pikestaff は古風な慣用表現で、2つの意味があります。中心的な意味用法は「明らか」「明々白々」という意味。もうひとつの意味が「微妙な外見」といった意味合いです。
1 Very obvious.
2 Ordinary or unattractive in appearance.
(1)とても明白な
(2)外見が凡庸あるいは魅力的でない
―― OxfordDictionaries
as plain as a pikestaff のさらに古風な言い方として as plain as day というフレーズがあります。
not much to look at (大したことはない)
not much to look at は、文字通りにいえば「見るほどのものではない」「見る価値はない」といった意味合いの表現です。人の見た目を評する文脈では、「大して美しくない」「見てくれが悪い」という意味を帯びます。
彼の見た目はイマイチよね、そうじゃない?
no oil painting (見栄えがしない)
no oil painting はイギリス英語の口語表現で、魅力的でない人、見栄えのしない容貌を指す言い方です。戯れ言のニュアンスを多分に含んだ言い方です。
oil painting は油絵(の画法)のこと。油絵のようには美しくないという意味なのか、はたまた油絵と違って水彩画のようにぼんやりした印象といった含意があるのでしょうか。その辺はちょっと謎です。
ugly but cute (ブサカワ)
ugly but cute という表現もあります。「ブサいけど可愛い」ということで、率直に ugly(醜い)と述べつつも全体的には cute (かわいい)の意味合いに比重が置かれたポジティブな表現です。
主に動物の可愛さを形容する場面で用いられます。adorably ugly も同じ意味合いで用いられます。
この犬は、ブサかわ犬として有名になった
「普通」と述べてパッとしないさまを評する言い方
average (十人並み)
average は基本的には「平均」や「標準」という意味で用いられる語です。名詞・形容詞・動詞の用法があります。
人の見た目を形容する場合には、「平均的な見た目」ということで「十人並みの(フツーの)見た目」というニュアンスで用いられます。特別かっこいいというわけではない、パッとしない、並、といったネガティブ寄りのニュアンスを含みます。
彼、見た目は十人並みかな。私のタイプじゃないわ
ordinary (凡庸)
ordinary は「普通の」「平凡な」といった意味合いの語です。人の容姿を形容する場合にも、やはり「普通の見た目」ということで、「特別に美しいという訳ではない」というネガティブ寄りの意味合いで用いられます。
ordinary と average はほぼ同じニュアンスと捉えてよいでしょう。
homely (素朴)
homely はイギリス英語では主に「家庭的」という意味合いで用いられますが、アメリカ英語では主に人の顔やスタイルを「不器量」と評する意味合いで用いられます。
not that pretty (そんなに可愛くない)
not that pretty は「そんなに(大して)可愛くはない」という意味合いで用いられる半ば定型的な言い回しです。not that ~ が「ことさらに~とは思われない」「言うほど~でない」という意味で用いられる慣用表現。
ブスじゃないけど、だからといってカワイイという程でもない。あるいは、みんなはカワイイと言うけれど実物はそこまででもない。そういう状況にハマる表現です。
彼女のことは好きだけれど、可愛いとは思っていない
reasonably good-looking (まあまあ程度)
reasonably good-looking は直訳すれば「適度に良い外見」といったところ。「まあまあ」「そこそこ」というニュアンスです。
超絶美男美女と言う程ではないかも知れないが「まあイイんじゃないかな」と評したいような場面で使えます。文脈や場の雰囲気によって、褒めるニュアンスにもなれば貶すニュアンスにもなります。
直接的に「ブス」と述べる禁断の文句
もっとハッキリ直接的に「美しからぬ外見」を表現する言い方もあります。決して口にしてはいけません。
ugly (醜悪)
ugly は「不快感を覚えるような醜さ」を形容する表現です。単に不器量・不細工だなあという感想を抱くレベルではなく、見ていて胸くそが悪くなるような、見なきゃよかったと後悔するような種類の醜さを指します。
決して人に言ってはいけません。
ugly と Fワードを組み合わせた fugly という言い方もあります。f**kin’ ugly の略。絶対に人に対して使ってはいけません。
unlovely (醜い)
unlovely も「醜い」「器量が悪い」といった意味で用いられる語です。不快のニュアンスも含み、 ugly に迫るネガティブな意味合いで用いられます。
unlovely は lovely(愛らしい)に否定の接頭辞 -un を加えた言い方なのですが、「愛らしい」を否定して「愛らしくはない」というようなニュアンスではなく、むしろ「愛らしい」の対極に突っ走ってマイナス方向に振れたニュアンスがあります。
決して人に言ってはいけません。
ill-favored (不美人)
ill-favored (または ill-favoured )は favored(器量良し)に否定の接頭辞 -ill を加えて「器量が悪い」と表現する言い方です。日本語の「不-美人」に程近い構成の語といえます。
ただし語のニュアンスは日本語の「不美人」よりもずっと強烈で、 ugly に近い「醜い」「不器量な」というニュアンスも含みます。
決して人に言ってはいけません。